BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX』

2021/02/12 09:00

週刊BCN 2021年02月08日vol.1861掲載

東芝のCDOが見据えるGAFAの次の時代

 つい先日、週刊BCNのメイン企画であるトップインタビューコーナー「Key Person」にもご登場いただいた島田太郎氏。東芝の最高デジタル責任者であり、東芝デジタルソリューションズの社長、東芝データのCEOも兼務する。近年の東芝グループは、総合電機メーカーからデータビジネスの会社に変わるというメッセージを打ち出しているが、この変革をけん引するのが島田氏だ。本書では、そのビジョンを平易に分かりやすく解説している。

 Key Personを読んだ方は、島田氏が「スケールフリーネットワーク」をデータビジネスにおけるプラットフォームづくりのキーワードに挙げていたことを覚えているだろうか。本書でもタイトルに掲げられており、スケールフリーネットワークとは何か、なぜそうした構造のプラットフォームが必要なのかを丁寧に説いている。

 島田氏はまた、PCやスマートフォンからデータを収集・活用する時代が終わりつつあり、これまで活用されてこなかったフィジカルな世界のデータもIoTなどで収集し、新たな価値創造につなげる時代に移る転換点に来ているとも指摘する。そうした環境の変化が、GAFAによるデータの寡占化が進むかのように見える現状を大きく変え、東芝をはじめとする日本企業が大きくビジネスを伸ばす好機が到来していると考えているのだ。

 BCNのインタビューに対して、「本気で世界の次のデファクトを取りに行く」と宣言した島田氏のアタマの中を垣間見ることができると言えそうだ。(霹)
 


『スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX』
島田太郎、尾原和啓 著
日経BP 刊(2200円+税)
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