専門家が「未来を見据えた取り組み」を提供する

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、この1年で世界は大きく変わった。本書でも紹介されているアントニオ・グテーレス国連事務総長は「第2次世界大戦以降で最大の試練」と警鐘を鳴らした。世界中の企業は、この試練を乗り越えるために各種対策を講じて変革を進めている。

 企業の取り組みの中で、注目されているのはIT活用だ。テレワークを実施するため、以前から準備していたシステムを活用する企業がある一方、急ごしらえで環境を整えた企業もあるだろう。いずれにしても、前例がないだけに、何が正しくて、何が間違っているかを判断するのは難しい。

 本書は、SAPジャパンと、同社のパートナー企業5社の専門家計21人が筆を執り、国内外の計34のコンテンツを提供する。業界や企業の規模、組織の歴史などを問わず「未来を見据えた取り組み」に焦点を当てているのが特徴で、世界の動きを知るための事例集として活用できる。各所に配置されているQRコードをスマートフォンなどで読み込むと、関連動画を視聴でき、より理解を深められる。

 さらに、単なるIT活用だけではなく、「環境」「脱・業界」「透明性」「ビジネス創造」「人らしくある」の観点に着目し、デジタルトランスフォーメーションを実践する上でのヒントも与えてくれる。著者らのメッセージは、試練に立ち向かう「未来を創る責任ある人々」にとっては一読の価値があるはずだ。
(鰹)
 


『Hope for tomorrowー進化するデジタルトランスフォーメーション』
SAPジャパン 松井昌代 監修
プレジデント社 刊(1650円)