米中のデジタル覇権争いを読み解く

 世界第1位の経済大国米国と第2位の中国は、さまざまな面で覇権争いを繰り広げている。デジタルの世界では、これまで米国一強と見る向きがあったが、ここ最近は中国が急速に力をつけている。

 本書でいう「GAFAM」は、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの米国勢。一方の「中国Big4」は、これまでのバイドゥ、アリババ・グループ、テンセント・ホールディングスの「BAT」に加え、TikTokを提供するバイトダンスを加えている。

 GAFAMの製品やサービスは、スマートフォンやOS、通販サイト、SNSなど枚挙にいとまがない。おそらく日本国内でも、多くの人が日常的に利用しているはずだ。一方、中国Big4はどうだろうか。TikTokは若年層を中心に利用されているが、他の会社が提供するサービスは使ったことがないと言う人もいるだろう。

 本書は、GAFAMと中国Big4について、黎明期からどのように成長してきたかを詳述する。とくに「脅威の昇龍」と表現する中国勢の急成長ぶりの部分では、人口約14億人の巨大市場の中で、いかに中国がデジタルの力を活用して発展してきたかを垣間見ることもできる。

 デジタルの世界での米中の覇権争いは、既に世界を巻き込んだ問題に発展しており、日本にとっても対岸の火事ではない。新しい領域にどんどん進出する各企業の動きを知る上で、本書は一読の価値がある。(鰹)
 


『GAFAMvs.中国Big4 デジタルキングダムを制するのは誰か?』
大西康之 著
文藝春秋 刊(1650円)