ビジョナル創業者を追ったノンフィクション

 ビジョナルは今年4月、東証マザーズに上場した。採用プラットフォームサービス「ビズリーチ」やHRソリューション「HRMOS」などを展開するビズリーチを筆頭とするグループ3社を束ねるホールディングカンパニーだ。旧ビズリーチと呼んだほうがイメージしやすい人もいるかもしれない。初値時価総額は2500億円に届こうとする勢いで、大型上場として注目された。マザーズ市場の時価総額ランキングで、メルカリ、そして本紙読者にもお馴染みのfreee、マネーフォワード、医療データ分析のJMDCに続く5位にいきなり食い込んだ。

 本書はビジョナルの創業者である南壮一郎社長の文字通りの「物語」だ。日経ビジネスの記者・編集者として活躍し、現在は日本市場での「LinkedIn」のコンテンツ統括責任者を務める蛯谷敏氏が、南社長やビジョナルの関係者、南社長に影響を与えたビジネス界のエグゼクティブなどへの取材を基に書き下ろした。成功した、もしくは成功しつつある起業家を名目上の著者に据えたビジネス啓発本などとは一線を画する読み応えがある。

 筆者は本文中で、先が見通せない現代において起業家や経営者には社会の課題を解決するには何をすべきかを模索する力、言い換えれば「問いを立てる力」こそが求められるという前提に立ち、南社長とビジョナルの物語を追う。起業家志望ではなくても、仕事に主体的に向き合いたいと考えている人は一読の価値ありだ。(霹)
 


『突き抜けるまで問い続けろ--巨大スタートアップ「ビジョナル」挫折と奮闘、成長の軌跡』
蛯谷 敏 著
ダイヤモンド社 刊(1600円+税)