北斗七星

北斗七星 2021年10月25日付 vol.1896

2021/10/29 09:00

週刊BCN 2021年10月25日vol.1896掲載



▼「早熟の天才」よりは「大器晩成」のほうが周囲からは幸せに映ることが多い気がしている。ビジネスパーソンのキャリアなどと比較して、アスリートは現役選手として活動できる期間が当然ながら短い。それでも全盛期と引退のタイミングが近い人と遠い人では、外野から見た印象が随分違うのではないか。

▼松坂大輔投手が引退した。「松坂世代」とも言われた1980年生まれは、今や社会の中核を成す。実績と知名度を兼備する球史に残るスーパースターであることに異論はないだろうが、どちらかというと早熟だった。10代から20代にかけて鮮烈な輝きを放った一方、米大リーグへの移籍後、特に30代以降はケガに苦しんだ印象が強い。肉体を酷使することが美徳だった昭和のスポーツ観を変えた「平成の怪物」でもある。

▼企業経営にもいい時と悪い時がある。しかし、新陳代謝がうまくいき続ければ、倒産という名の引退は永遠にしなくていい。歴史が10年、50年、100年と積み重なれば、早熟や大器晩成という概念を超えていく。バズワード化して飽きられつつあるDXは、そのための文化や哲学の変化をメソドロジーとして確立するための取り組みであることを忘れないようにしたい。(霹)
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