BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』

2022/09/09 09:00

週刊BCN 2022年09月05日vol.1937掲載

話し合う前の「当たり前」

 プライベートでもビジネスでも「話し合いがうまくいかない」経験をした人は少なくないだろう。本書は、相互理解を促す「対話の作法」と、納得感ある結論を導く「決断の作法」を組み合わせた「話し合いの作法」を紹介している。

 その内容は一読すると「当たり前」のように思うことばかりだが、その当たり前ができていないからこそ、対話が不調に終わり、その先に取り組むべきことも進まない事態が起こる。記者は読み進めるほど自省が深まっていった。

 詳細は本書を参照してほしいが、印象に残るのは「他者には他者の合理的な世界がある」という点だ。自分にとっては不合理な言動であっても、他者には一貫した行動原理がある。そこに思い至れるかが、あらゆるコミュニケーションに必要なルールであろう。

 最近、SNS上を中心に、自分の意見に沿わない相手の主張を「間違っている」と決めつけ、なぜ相手がそのような考えに至っているのかすら一顧だにしない人が散見される。著名な研究者でさえ、そのような態度をとるから驚きである。対話でも議論でも、相手を尊重するのは前提だ。それすらできない人こそ本書を手に取ってほしいが、期待するだけ無駄か。(無)
 


『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』
中原 淳 著
PHP研究所 刊 1155円(税込)
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