BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『話題にしてもらう技術』

2023/01/06 09:00

週刊BCN 2023年01月02日vol.1951掲載

「記事が書ける状態」にする実践書

 広報(PR)代理店のビーコミの加藤恭子代表取締役の近著で、企業の広報担当者向けに書かれたPR実践書といえる。副題の「90.5%の会社が知らないPRのコツ」は、総務省・経済産業省による「令和3年経済センサス-活動調査」の調査対象を母数とした場合、大手プレスリリース配信サービスの登録社数が全体の10%にも満たないことを論拠にした。

 情報化が進み、企業や団体の公式HPやSNSから直接情報を得る機会が増えたが、新聞・雑誌などの既存メディアから情報を得る機会も依然として多い。この場合、書き手である記者の行動原理を捉え、情報発信者の伝えたいことを正しく理解させ、「記事が書ける状態」まで持っていくことが重要になる。

 記者はその事業の当事者ではないため、当事者以上に理解を深めることは難しい。記事のトーンも対象とする読者が分かりやすいよう噛み砕いて書くことになる。だからこそ、プレスリリースや説明会、個別取材などの接点を通じて、誤解のない記事を世に出していくには一定のノウハウが不可欠だ。加藤代表取締役自身が記者出身ということもあり、広報担当者がどう動くべきかを的確、かつ具体的に指南している点が秀逸だ。(寶)
 


『話題にしてもらう技術』
加藤恭子 著
技術評論社 刊 1980円(税込)
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