貴重な経験をするためのバイブル

　遠くに出かけるのが好きだったが、コロナ禍の自粛生活ですっかり感覚がなまってしまった。現地を訪れなくても、大抵の情報はインターネット上で集めることができる。しかし、実際に行かなければ得られないものは確実にあり、本書はその重要性を再認識させてくれた。

　本書は、1998年1月から刊行されている「海外個人旅行のバイブル」の改訂版7作目。旅に出るための予算や荷造りのポイント、ルートなど、旅に出るために必要な情報を詳説している。女性向けの章も掲載しており、性別に関係なく多くの人にとって参考になるはずだ。

　上記の内容は、SNSなどでも把握できるかもしれない。本書がひと味違うのは、世界中を飛び回る「旅の達人」のエッセーを収録している点だ。秘境や危険地帯と呼ばれるような場所を訪れた実体験に基づく解説は読み応えがある。

　ITで利便性は向上しており、以前よりも旅がしやすくなっている。世界にはさまざまな国や地域が存在し、日本の常識が通用しない部分はたくさんある。いい面も悪い面も含めて、現地での経験は非常に貴重で、旅がやみつきになるのは納得できる。読了後は、本書が示す「少しの勇気と好奇心」を持って、再び一歩踏み出してみたいと思った。（鰹）
 

『全面改訂版 バックパッカーズ読本』
旅行情報研究会、『格安航空券ガイド』編集部 　著
双葉社　刊　1980円（税込）