BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『天気予報はなぜ当たるようになったのか』
2025/07/04 09:00
週刊BCN 2025年06月30日vol.2065掲載
進化する天気予報
書店で本を探している際に、本書のタイトルが目にとまった。「確かに昔より天気予報が正確になっているな」と思い、その要因を知るため購入した。本書は1983年に気象庁に入庁し、その後、気象庁長官を務めた長谷川直之氏が天気予報の手法の変化などを解説。現在は物理学を用いた「数値予報モデル」をベースに、その数値に予報官の知見などを組み合わせることで、“当たる”天気予報を実現しているという。
天気予報とAIの関係にも触れており、過去の天気図を学ばせたAIに今日の天気図を渡せば、明日の天気図を描くことができるようになりつつあるとする。日本だけでなく、グローバルでさまざまな機関や企業がAIを活用した天気予報への取り組みを進めているそうで、今後天気予報がどのように変わるのか興味が湧いた。そのほかにも天気予報に関するいろいろなことが説明されており、読後に見た天気予報がこれまでとは違った視点で楽しめた。
近年は、豪雨や夏の猛暑など極端な気象や天候不順が続いている。こうした天候の変化に対応するには、天気予報に頼るしかない。天気予報が進化し、より正確なものになるのを期待したい。(帆)

『天気予報はなぜ当たるようになったのか』
長谷川 直之 著
集英社インターナショナル 刊 1012円(税込)
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