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連載 第2回 日本全国の企業を支えるDynabook 地域に根差した営業活動の実態を探る 地域拠点を支える「黒子」としての本部に

2025/09/25 09:00

週刊BCN 2025年09月22日vol.2076掲載

 世界初(1)のノートPCである「dynabook」は誕生から36年を数え、日本を代表するPCブランドとして広く浸透している。2024年度にはノートPCのブランド別で国内シェア1位(2) を獲得し、市場からの高い評価を裏付けた。そのブランド力の根源には、製品開発を支える技術力はもちろん、全国約50カ所の拠点で構成される営業・サポート網、さらには各拠点と深くつながるパートナーの存在がある。各拠点の実態を通じて、コンピューティングとサービスで地域の顧客を支え続けるDynabookの本質に迫る。


(1):1989年、世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」を発売
(2):「IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis」(※)は、IDC独自の調査手法に基づき、各情報ソースのガイダンスを用いて、PC製品市場規模、ベンダーシェアの実績や市場予測を定期的に提供するデータベース製品です
※Source:IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis 2025Q2 Share by Brand   ※2024年(1月~12月) ALLSegment合計。Dynabook社のシェアは14.7%


 第2回は本社・豊洲のPC事業本部から、国内マーケティング本部、ビジネスパートナー営業部、公共・文教営業部、アカウント営業部、国内サービス本部に地方拠点の位置付けを聞いた。各部署とも「黒子」となって拠点を支え、今後控える「Windows 10」のサポート終了 (EOS)などの課題に対応したい考えだ。

住所:〒135-8505 東京都江東区豊洲5-6-15 (NBF豊洲ガーデンフロント 8階)
電話番号:03-5144-3000(本社代表)

国内マーケティング本部
情報の「清流化と循環」を促進

 マーケティング本部では市場調査、商品企画、商品投入、プロモーションなどマーケティング業務全般に取り組む。中でも大切な活動は「お客様やパートナーの声を次の製品に生かす」こと。
 
国内マーケティング本部
杉野文則 本部長

 杉野文則本部長は「情報の流れは人間に例えると血液循環に似ている」と語る。血液は体内を巡って栄養や酸素を運び、再び戻ってくる。情報も新鮮なうちに早く現地に届けることに加え、各地からも汲み上げ、設計・生産・調達部門を含めて社内に循環させることが重要だと考える。

 「現場ファースト」を意識し、常に最先端のトレンドをキャッチアップして、地方拠点が必要とする製品やプロモーションの情報を発信する一方で、現場の声を拾い、製品企画などに役立てる。情報は開発力の源泉となっているのだ。マーケティング本部を含めた本社と地方拠点は「フラットな関係」であり、今後も連携を密にして情報の清流化と循環に努めていく。

ビジネスパートナー営業部
販売パートナーと自社の「橋渡し役」

 「現場が主役、本部は黒子」

 こう語るのはビジネスパートナー営業部の川窪周一部長だ。自部署はあくまで、現場・販売パートナーが動きやすい環境をつくり、両者を結びつける「橋渡し役」だと強調する。
 
ビジネスパートナー営業部
川窪周一 部長

 近年は、新たに取り引きを開始するパートナーが増えている。その要因の一つには全国各地に広がる営業網、サービス網がある。川窪部長は「リモートでなく、膝を突き合わせて対話できる。パートナーの皆様からは、安心感が非常に大きいと聞いている」と話す。

 パートナーの拡大は顧客接点の拡大を意味する。EOS後の反動減を見据え、パートナーとの連携をさらに深めたい考えだ。

 そのためにも地方拠点への期待は大きい。川窪部長は「今以上にスピード感をもって、パートナー様、お客様の話を聞き、スムーズに情報を交換できるような環境を維持してほしい。そのためにわれわれは後方から支援したい」と語る。

公共・文教営業部
GIGA第2期へ連携強化

 公共・文教営業部は地方拠点と連携し、官公庁や自治体、教育機関向けに事業を展開している。コロナ禍を契機に公共領域でもモバイルノートPCの導入が拡大しており、ニーズの把握と提案に努めている。
 
公共・文教営業部
石田康弘 部長

 とりわけ注力しているのは、GIGAスクール構想第2期への対応である。地方拠点とは、各地の事例や入札関係の情報などを随時共有し、施策を推進している。石田康弘部長は、教育機関向けには、製品の魅力を直接伝える営業が効果的であるとした上で、「われわれだけで直接会うのは限界があり、販売パートナー様の力を借りて、われわれの製品の良さを訴求し、選んでいただけるようにしたい」と意気込む。

 1期の際に新たに商流に加わったパートナーが多く、シェアの拡大に大きく繋がった。2期ではより協業を深化させ、市場をさらに開拓する構えだ。

アカウント営業部
地域性生かし、新規顧客を拡大

 アカウント営業部は主に大企業向けを担当し、全体戦略の立案、個別案件の機種選定、高額案件の見積もり作成など幅広いサポートを手掛ける。全国各地の地域を代表する大企業との関係構築のためにも、地域に存在する拠点は有効だとする。
 
アカウント営業部
林 剛志 部長

 現在、EOSを受けたリプレースが大詰めを迎えており、顧客のサポートに力を入れる一方で、EOS後の反動を見据えた取り組みも模索している。鍵となるのは新規顧客の開拓だ。林剛志部長は「テレセールスの活用や既存顧客からのつながりなどを生かし、拠点ごとの地域性を生かしたやり方で増やしていきたい」と強調する。

 「Copilot+ PC」などAI活用を踏まえた高性能PCへの切り替えは大企業でもまだ始まったばかりだ。ただ、社内の一部で取り入れる動きはあり、AIを生かせるソフトウェアの拡大とともに、徐々に比率は増えていくとみている。

国内サービス本部
付加価値提案をサポート

 国内サービス本部は、地方拠点を統括しながら、修理サポート関連と導入前後の付加価値を提案するサービスの二つを中心に事業を展開している。トラブル時には誠実な対応で信頼の基盤を築きながら、ビジネスの主眼は付加価値の提案に置いている。
 
国内サービス本部
中村 勝 本部長

 顧客の課題に応じたソリューションの提供はもちろん、例えば、必要があれば床を開け、LANや電源周りの配線を敷設するなど、細かな部分まで担う。PCメーカーの範囲外とも思える作業ではあるが、中村勝本部長は「お客様の中に入り込めることが強みの一つになっている」と話す。

 この強みを最大化するには、地方拠点の存在が欠かせない。修理サポートで訪問した際、ただ直すだけではなく、顧客の抱える悩みを聞き出し、自社のソリューションを提案することで解決につなげていく。そのためにも国内サービス本部で「現場をしっかりとサポートしたい」(中村本部長)としている。

 


 Dynabookの地方拠点は、それぞれの得意分野を生かし、顧客のニーズに応じた固有の取り組みを展開している。その取り組みの中から、顧客やパートナーのさまざまな声を集め、本部に届けることで、新たな事業の流れが生まれていく。このサイクルがDynabookの強みだと言える。

 目まぐるしく変化を続ける市場に対応するため、拠点と本部のコミュニケーションを充実させることは極めて重要である。

 これからもDynabookは、現場と本部が一体となり、地域に根差した価値を創出していく。
 
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外部リンク

Dynabook=https://dynabook.com/