BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『韓国式ストーリーのつくりかた』
2025/08/29 09:00
週刊BCN 2025年08月25日vol.2072掲載
ストリーミング時代の脚本術
韓流ブームは現在までに4回起きている。第一次の火付け役は連続ドラマ「冬のソナタ」。2003年から日本で放映され、主演のペ・ヨンジュン氏は多くの人が知る存在になった。韓国では、こうしたスター俳優の起用はヒットの定番だった。しかし近年、ストリーミング配信の時代が到来すると新人のみを起用したドラマが制作されるなど、当時とは環境が変化していると本書に教えられた。ストリーミング配信は視聴習慣にも影響を与えている。1.5倍速や2倍速で再生し、気になるシーンまで巻き戻す視聴者も多いという。ベテランの脚本家である筆者は、刺激に慣れた視聴者に対し、作家はより暴力的、扇動的な表現を入れるプレッシャーが生じると懸念する。日本でもサブスクリプションサービスで動画を視聴する習慣が定着している。物語よりも瞬間的な刺激が優先されるようになれば、作り手の表現の幅が狭まりかねない。
筆者は、作家は視聴者と影響を与え合い、相乗効果を生み出すクリエーターだと励ます。本書の大部分は書名通り脚本術を指南する内容だが、技術論だけでなく、メディア環境の変化が物語の質や文化に与える影響を考察し、これからの作り手が担うべき役割を問いかけている。(潤)

『韓国式ストーリーのつくりかた』
パク・ソンス 著
日経BP 刊 2200円(税込)
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