キャッシュレス時代にも出番多数
板垣退助の肖像が描かれた100円紙幣を父からもらったことがある。どれくらいの価値があるか気になり、記載されている番号を調べたこともあったが、手放さずに今も保管している。
100円紙幣は1974年に発行停止になった一方、硬貨は57年に初登場している。しばらく併用されていた背景には、地方を中心とした紙幣への根強い需要があったという。
硬貨には鳳凰の絵柄が用いられた後、2年後の59年には稲穂に変わった。現在の桜花は67年に採用された。銀60%、銅30%、亜鉛10%の銀貨から白銅貨になったのもこのタイミングで、銀の価格高騰を受け、銅75%とニッケル25%に切り替わった。
近年のキャッシュレス化や非対面の購買機会の影響で硬貨全体の流通枚数は減少している。ただ、キャッシュレス決済に対応していない店舗も多く、特に100円硬貨は自動販売機やコインランドリーなど出番が多い。財務省の計画によると2025年度に1億枚の100円硬貨が製造されており、需要はまだまだありそうだ。
財布を開くと、製造年が最近のピカピカの百円玉を見つけるーー。こんなちょっとうれしい体験も、しばらくは続くだろう。
(潤)
由来
日本で初めて100円硬貨が発行された。当初は銀が含まれていた。「百円玉記念日」「百円玉の日」とも呼ばれる。