貴重な文化財を次代につなぐ
先人が残した文化財は、芸術的な魅力や資料的な価値だけでなく、過去から続く長い時間を伝えている点で、何ものにも代えがたい。これを受け継いだ現代のわれわれは、さらに次の世代にもしっかりと伝える使命があると感じる。
ただ、保存には難しさがある。その一因が火災だ。1949年1月には、法隆寺金堂の火災で7世紀末から8世紀初期頃に描かれた国宝の壁画が焼損したことに続き、2月には愛媛県の松山城、6月には北海道の松前城で貴重な文化財が焼損した。この年、相次いで火災が発生したことを機に50年には文化財保護法が制定され、文化財の保存を推進する体制が整備されている。
法隆寺金堂壁画については、火災発生前の修繕事業の一環として美術印刷会社の便利堂が撮影した写真ガラス原板が残っていたため、現在では専用のスキャナーを用いてデジタル化した高精細画像が公開されている。
破損した文化財をデジタル技術で復元できた功績が大きいことは言うまでもないが、オリジナルを永久に見られなくなってしまった損失は計り知れない。特に乾燥する冬は火災が発生しやすい季節。重要な文化財を失わないようにくれぐれも注意したい。
(石)
由来
1949年のこの日、奈良県・法隆寺の金堂が炎上し、壁画が焼損したことに由来する。1955年、文化財保護委員会と国家消防本部が文化財防火運動の一環で、国民に文化財愛護に関する意識の高揚を図る目的で制定した。