56年前の見事な生還
米航空宇宙局(NASA)が主導し、各国の宇宙機関がパートナーとして参画する月面着陸ミッション「アルテミス計画」の進捗が連日伝えられている。月着陸に向けた一連のミッションの中で、4人の宇宙飛行士が初めて搭乗し月の周りを周回する「アルテミスII」が本稿執筆中にも進行中だ。
アルテミスIIは米国時間4月6日に月の裏側を通り、人類の地球からの最遠到達記録を更新した。その前の記録保持者は、有名な1970年のアポロ13号だ。酸素タンクの一つが爆発して船体の一部を吹き飛ばし、月面着陸はおろか帰還も危ぶまれる中、船内に残されたわずかな物資を活用して電源や空気ろ過装置などを確保。見事地球へ帰る軌道へ戻り、3人全員が生還した。
爆発の原因は複合的だが、巨大な開発組織の中で、設計の変更が正しく実装に反映されていなかったというヒューマンエラーの部分が大きい。本来取り外すべきネジの取り忘れや、酸素タンクのヒーターの電圧変更の伝達漏れがなければ、爆発は起こらなかったかもしれない。
ただ、その後はこのようなミスを防ぐのに加え、仮に爆発が起きても被害範囲を限定的にする工夫も加えられている。今日の安定した宇宙飛行は過去の積み重ねの上にある。(螺)
由来
酸素タンクが爆発し生還が危ぶまれた米国の有人月面探査船「アポロ13号」は、危機的な状況を乗り越え、米国時間1970年4月17日に無事太平洋上に着水した。