▼「チンする」と言えば、「電子レンジで温める」という意味だと推測できる。かつてタイマー終了時にベルが鳴っていたことが由来だ。今では電子音に変わり、ベルの音は消えたが、言葉だけは残った。わが家でも日常会話で使うので、子どもに受け継がれている。
▼IT機器でも似たような状況を見かける。フロッピーディスクのアイコンを見れば、「保存」が想起される。一方、フロッピーの実物を見たことがなくても、「これは保存ボタンだ」ということはわかる人もいる。先輩に教わったのだろう。
▼ただ、「通じているはず」という思い込みは危うい。アイコンの具体的な位置やショートカットキーを示さず「保存するにはフロッピーのアイコンを押して」と言って、意味を理解してくれるとは限らない。場合によっては、こうしたすれ違いが大きな問題に発展することもある。
▼羽の整わない折り紙の鶴を全部開いてみたら、ほんの小さな角のほころびが原因だった、ということは少なくない。技術の進化につれ、「説明しなくても通じる」という前提は崩れていく。そうした認識のすき間を埋めていくのも、私たちIT業界の仕事の一つかもしれない。(駄)