▼かねてより家を建てる計画があり、先日、建築士との打ち合わせに赴いた。印象的だったのが「家の経年変化は住む人の意識にも作用する」との話だ。生活の中で家は風合いを深め、それに応じて住人は家により愛着を寄せるようになるという。
▼この話で思い出したのが「Patina」という英単語だ。ニュアンスとしては「経年によって生まれる美しい(前向きな)変化」という意味らしい。最近では塗装などで古いように見せる製品もあるが、真の意味でのPatinaを生み出せるのは時間だけなのだろう。
▼ITビジネスでは、新しい技術によって、古い技術を置き換えることで価値が生み出される。そこにPatinaのような概念はあるだろうか。そもそも、経年が必ずしも物体に刻まれないITにおいて、経年の美は生まれにくいとも言える。
▼「最新であることが最善」な世界では、常に時代の最先端に立っていることが求められる。本紙は今秋に45周年を迎える。常に業界の最新を見つめる一方で、歴史のある媒体だからこそ、時間の積み重ねから生まれる何かを探してみたい。そうは思うが、考えあぐねて時間だけが過ぎている。(無)