イラン戦争の歴史的背景を読み解く
イランによる事実上のホルムズ海峡封鎖で、原油の主要な積み出し港のあるペルシア湾に出入りできなくなっている状況は、世界経済に大きな影響を与えている。とりわけ中東産原油への依存度の高い日本をはじめとするアジア諸国への打撃は深刻だ。
2026年2月に勃発したイラン戦争では、米国と良好な関係にあるサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、オマーンなど6カ国からなる湾岸協力会議(GCC)加盟国の一部地域もイランの攻撃にさらされ、ホルムズ海峡の封鎖と相まって、原油輸出に大きな障害となっている。
79年のイラン革命以前の王政時代のイランは米国と親密な関係にあり、ペルシア人がアラブ諸国に対抗するという文脈でイスラエルとも協力関係にすらあった。王政終焉後は米国やイスラエルとの対立が決定的となり、その後の核開発疑惑を理由に今回のイラン戦争に突入した。
本書では、イランへの武力行使の歴史的な背景について詳しく解説している。著者がイスラム研究の専門家ということもあり、米国の軍事力・経済力を背景とするリアリズムの視点ではなく、イラン側の視点を重視した論調となっている。泥沼化するイラン戦争の歴史的背景を理解するのに役立つはずだ。(寶)
『イラン戦争 アメリカ・イスラエルの策略』
宮田 律 著
平凡社 刊 1100円(税込)