幻になる前に
お吸い物の具材の中でも、飛び抜けて好きなのがじゅんさいだ。ポン酢をかけて食べるのも風情がある。食材としては、透明でぷるぷるとしたヌメリに包まれた幼葉や葉柄で、涼しげな見た目が夏の暑さを一瞬忘れさせてくれる。味はたんぱくで、独特な口当たりとのど越しがたまらない。
旬は6月から8月上旬。一般的な具材と比べて安くないので、わが家では滅多に買わないが、スーパーなどで見かけるとつい手が伸びそうになる。ポリフェノールを多く含むほか、カロリーが低く、ヘルシーな食材としても知られつつある。
自然界では、沼や池に自生するスイレン科の植物だ。清らかな水にしか生息せず、夏季にはハスの葉のように水面いっぱいに浮葉を広げている。かつては全国で観察されたが、現在は絶滅した地域があるなど、生息地を減らしている。食卓には、養殖されたものが並ぶことが多い。
由来となった6月31日は現実に存在しない幻の日。じゅんさいの希少性から、幻の食材としての意味も込められている。天然ものが本当の幻になってしまう前に、環境保全と市場価値を両立させる、持続可能なビジネスモデルの確立が求められている。
(駄)
由来
秋田県三種町の「三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会」が2012年に制定。6月を意味する英単語「June(ジューン)」と、「3(さ)1(い)」の語呂合わせで6月31日。しかし存在しないので、次の日の7月1日とした。