店頭流通

冬のボーナス商戦 予想どおりの厳しい状況 ウィンドウズXP奏功せず

2001/12/24 16:51

 冬のボーナス商戦の天王山は、支給後の土日がピークと言われる。2001年度は12月15日(土)、16日(日)がそれにあたる。店頭市場におけるパソコン販売が厳しいなか、この冬のボーナス商戦はどのような状況を迎えたのか。ウィンドウズXPの発売効果は低迷気味のパソコン販売に好影響を与えたのか。BCNランキングと専門店販売員の声をもとに、01年冬のボーナス商戦を振り返る。

 まずは12月15日、16日のデスクトップ、ノートの販売状況を前週比で比較する。

 BCNランキングによると、15日はデスクトップで前週比104.5%、ノートで同106.8%であった。16日はデスクトップで同113.9%、ノートでは同120.6%である。15日、16日ともに、前週の実績を上回る結果となった。とくに16日の日曜は、土曜を上回る実績をあげている。ボーナス商戦ということもあり、通常の土日の販売状況を上回る結果を残した。

 しかし、この状況を手放しで好調ということはできない。前年のボーナス商戦ピーク時である00年12月16日(土)、17日(日)と比較すると、ノートはともかくデスクトップの販売状況は前年を下回る結果となった。土曜のデスクトップにおける前年同週比は95.3%、日曜は同93.5%である。

 一方、デスクトップと比較すると、ノートは堅調に伸びている。土曜の実績では同130.8%、日曜は同138.7%と前年実績を30%以上上回る好調な結果となった。

 前年と比較して厳しい数字となったデスクトップの販売状況について、販売の現場では「確かに、デスクトップよりもノートの方が売れている。スペック面でデスクトップと互角に近づいた点が大きい」とする意見が多く聞かれた。

 潜在需要として、ノートの人気は従来より高かったが、これまでシステムの安定性やスペック面で脆弱と感じていたユーザーの認識がここにきて覆った結果であろう。東芝 デジタルメディアネットワーク・西田厚聰社長は、「米国でもノートの人気は高まり始めている」とし、デスクトップとノートでスペック面の大きな格差が出ないよう、インテルと共同でモバイルペンティアムの発表時期をデスクトップ用とほぼ同期させる計画を示した。

 デスクトップ、ノートの販売状況を結果からみると、ウィンドウズXPの発売効果は、少なくともボーナス商戦ピーク時にはほとんど功を奏さなかったと考えられる。秋葉原のパソコン専門店のなかには「ウィンドウズXPは期待外れだった。買え控えが起こった分だけかえって損をした」と辛辣な意見を述べる店舗もあった。

 メーカー別の販売構成比をみると、デスクトップ、ノートともにソニーの構成比が30%以上で、他社を圧倒するシェアを獲得していることがわかる(図参照)。

 NEC、富士通、東芝などの「老舗」パソコンメーカーが他社製品との差別化策を打ち出せないなか、いち早くAV機器との融合をユーザーに提案したソニーの戦略が奏功し、今回のシェアトップを得た格好である。

 大方の予想通り、01年冬のボーナス商戦は厳しい状況となった。しかし、メーカー各社の来年度の市場予測は明るい要因に満ちている。今年度に引き続きブロードバンド市場がさらに活性化。それに引きずられる形でワイヤレスLANソリューションが登場し、家庭内AV環境のネットワーク化も徐々に始まる、と見ている。01年で店頭パソコンの不況は底を打った、と見る多くのハードメーカーの予測は的中するのか。02年度に期待したい。
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