店頭流通

パソコン単価、上昇 量販店は強気の姿勢崩さず

2002/04/08 16:51

週刊BCN 2002年04月08日vol.936掲載

 液晶パネル部材の価格上昇で、パソコン単価が上がっている。ソニーの売れ筋デスクトップ「バイオW」が、4月27日から実質2万円値上げする。

 液晶パネル部材の価格上昇で、パソコン単価が上がっている。ソニーの売れ筋デスクトップ「バイオW」が、4月27日から実質2万円値上げする。アップルの新型iMacも全機種2万円値上げした。NECも夏モデル以降、値上げの方向で動いている。パソコン販売店の多くは、「単価が上がれば、消費減退を招く」と警戒する。一方、ヨドバシカメラやビックピーカンなどカメラ量販店幹部は、「さほど影響ない」と強気だ。

 ビックピーカン商品部の橋本修取締役(=写真)は、「パソコンの世帯普及率は、すでに6割近くに達した。主な購買層は、ほとんど買い替えと買い足しだと考えていい。これらの顧客は、すでに生活のなかでパソコンが必需品となっているから着実に購買へと動く。2-3万円価格が上がっても影響は少ない」と予測する。

 ヨドバシカメラ新宿西口本店統括店長の日野文彦取締役も、「安ければ売れるという状況にない。商品価値があれば、多少高くても売れる」と指摘する。確かにパソコンの普及期では、安いパソコンがもてはやされたが、今の購買層はパソコンに詳しい買い替え、買い足し層が中心だ。「価格上昇分を織り込んで考えても、今年の夏商戦は前年並みはいける」と冷静に捉える。

 橋本取締役は、パソコン未購入の残り4割の世帯について、「恐らくパソコン単価が5万円を切り、テレビ並みの使い勝手にならないと購入しない。これは今のパソコンでは実現困難。つまりパソコンを必要とする客層をターゲットに捉えるのが妥当。価格を下げて利益を減らすのではなく、これまでの薄利多売のパソコンビジネスを見直し、妥当な利幅を確保できる収益構造に変えるべき」と提言する。

 また、「夏モデルの価格上昇よりも、4月、5月の商材不足の方が深刻。当社では、『店員が顧客を探す』という状況にはなく、まだ『顧客が店員を探している』状況が続いている。売れ筋商材を確保できれば、今の少人数体制でも十分対応できる」と、価格上昇より売れ筋商材の不足に危機感を抱く。

 別の関係者は、「一部では価格上昇を見越して、現金問屋系のバイヤーが商材の調達に動いている」とも話す。

 橋本取締役は、「店員を増やして売り上げを高めるのではなく、適正人員で効率の良い販売体制をとることが大切。取り扱い品目が10万点もあると、顧客が商品を検索できる端末を店内に設置するのも1つの方法。いずれにしても商材確保が要だ」と話す。
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