店頭流通

パソコンの需要動向 02年度下期から回復か

2002/06/17 18:45

週刊BCN 2002年06月17日vol.945掲載

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、先頃発表した「パーソナルコンピュータに関する調査研究報告書」のなかで、2003年までの需要予測を発表した。01年度は2ケタ台の前年割れとなった国内のパソコン市場だが、02年度は前年比4%増、03年度は前年比6%増という伸びを示すと予測している。一方、インターネットアプライアンスに関する調査についても発表しており、ポータブルPCを所有しているユーザーのうち、ビジネスユーザーでは1か月のうち26.3日をインターネットに接続、コンシューマユーザーでも20.7日接続していることなどがわかった。(大河原克行)

JEITA、PC需要予測を発表

■シニア層の開拓が不可欠

 JEITAによると、パソコンの需要動向は、02年度は依然として不透明感が強いものの、02年度下期以降には徐々に回復するのではないかと予測している。

 その要因として、ウィンドウズ95/98からのリプレース需要の本格化、電子商取引の拡大、e-Japan構想の推進、企業における法定耐用年数の短縮などがあり、堅調なIT投資が期待されること、ブロードバンドの急速な普及、コンテンツの充実、IT講習会の継続実施など、個人需要を促進する材料があるとしている。

 また、無線LANの普及により、モバイルコンピューティングが進展、1人でパソコンを複数台所有するというユーザーの増加も期待できるとした。

 だが、コンシューマ層の拡大については、20歳代、30歳代のユーザーにはすでに幅広くパソコンが普及し、新規ユーザー数が減少していることから、今後は50歳代以上のシニア層の開拓が不可欠だとしている。

 タイプ別では、ノートパソコンの普及がますます進みそうだ。 ノートパソコンは、長期トレンドで見た場合の液晶パネルの価格低下や、MPUの高速化、DVD/CD-RWコンボドライブなどの採用によって、機能面でデスクトップパソコンと差がなくなってきたことで構成比を高めており、無線LANの普及などにともなって、さらに構成比率が高まっていくと見ている。

 02年度には58%、03年度には60%になると予測しており、年を追うごとに構成比が高まっていくことになる。

■価格は下落傾向続く

 平均価格の推移は、依然として下落傾向にあると予測している。 今年夏モデルは、価格上昇傾向が見られたパソコンの平均単価だが、02年度末にはポータブル型で前年比9000円減の16万5000円、サーバー/デスクトップで前年比4000円減の15万3000円。03年度も同様にポータブルで4000円、デスクトップで3000円の下落があるとしており、長期トレンドでは、下落傾向が続くと見ている。

 しかし、同協会では、もはや低価格だけでは需要を喚起できないとしているほか、中小企業やシニア層など普及率が低い層に対しては、価格訴求ではなく、使いやすい製品の提供などが必要として、それが低価格パソコンの需要減につながるのではないかと見ている。

 また、ADSLなどのブロードバンドの普及にともなって、各種コンテンツの提供が増えれば、ペンティアム4やウィンドウズXPといった高機能パソコンの需要が増大し、価格下落の下げ止まりの可能性もあるとしている。こうした点が、平均価格の下落率を縮小させる原因になると予測している。

■ネット利用はポータブルPCで

 同協会では、インターネットアプライアンスの調査も発表している。 この調査では、ポータブルPC、携帯情報端末(PDA)、携帯電話/PHSに分類して、それぞれの動向調査をとりまとめている。

 コンシューマユーザーの保有率では、携帯電話/PHSが圧倒的に高く78.2%に達しており、男女ともに70%台の高い比率となっている。それに対して、ポータブルPCは、27.7%、PDAは15.6%という比率に留まっている。

 しかし、これらの端末からインターネットに接続しているとした利用者は、ポータブルPCが83.5%に対して、携帯電話/PHSは61.0%、PDAでは36.2%に留まった。

 また、毎日インターネットを利用していると回答したのは、ポータブルPCでは55.1%と過半数を突破したが、PDAでは223%、携帯電話/PHSでは30.4%となった。

 さらにポータブルPCでは、一回の利用時間が1時間以上とした回答者が過半数を突破したのに対して、PDAでは10分未満の利用者が57.8%、携帯電話/PHSでは77.1%と大きな差がついた。

 インターネットの本格的な利用という点では、ポータブルPCと、PDA、携帯電話/PHSとの間に大きな格差があるといえるだろう。

 ビジネスユーザーについては、ポータブルPCで71.8%、PDAで11.2%、携帯電話/PHSで75.9%の保有率となっており、さらに補完的位置づけとして調査したPCサーバーでは81.8%、デスクトップPCは93.5%という保有率となった。PDA保有率の低さが際立つ結果となっている。

 企業におけるポータブルPCの利用形態を見てみると、利用コンテンツとして電子メールが圧倒的で93.0%を獲得、次いでオフィス用ソフトの48.0%、社内サービスの31.0%となっている。

 インターネットへの接続方法としては、LANで会社のシステム接続が56.8%と最も多く、通信カード(カード型PHS)が34.7%、内蔵モデム+携帯電話/PHSが20.0%、モデムカード+携帯電話/PHSが15.8%となっている。

 表は、インターネットアプライアンスの利用状況をコンシューマユーザーとビジネスユーザーに分けて、平均的なプロフィールを示したものだが、インターネット接続の本格的利用の中心は、やはりポータブルPCが多いということを裏づける結果となっている。
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