店頭流通

インクジェットプリンタ 待ったなし!エプソン対キヤノン

2002/10/07 16:51

週刊BCN 2002年10月07日vol.960掲載

 インクジェットプリンタの熾烈なシェア争いが始まる。プリンタ市場の大手、セイコーエプソンとキヤノンの2社は、10月から新製品の販売を順次開始、エプソンが55%以上、キヤノンが50%近いシェアを目指す。一方、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)という手強い伏兵もラインアップを強化。現在の4-5%のシェアを10%弱まで引き上げる構えだ。

どこまで迫れるか伏兵日本HP

 冬商戦向けのインクジェットプリンタのラインアップは、エプソンが8機種、キヤノンが6機種。両社とも、プリンタ需要が高まる冬商戦で、シェア争いで打ち勝つ準備を整えた。

 エプソン販売の真道昌良社長は、「今年の年末商戦でシェア55%以上を取る」と強気の発言。対するキヤノン販売の村瀬治男社長は、「50%のシェアに限りなく近づく。これを実現する製品群が揃った」と自信をみせる。

 10-12月は、エプソンが140万台、キヤノンが123万台の出荷台数を見込んでおり、推定市場規模240万台のパイを奪い合う。

 エプソンやキヤノンほどの派手さはないが、確実にシェア3位をキープするのは日本HPだ。年末商戦に向けて5機種を市場投入し、シェア拡大を図る。「多機能で高価格帯の複合機プリンタ販売に力を入れる。インクジェット複合機市場で50%のシェアを目指す」(コンシューマ事業統括本部・滝澤敦本部長)と意気込む。インクジェット全体では10%弱のシェア獲得が目標だ。

 エプソンの目玉商品は、「カラリオ」シリーズの最上位モデル「PM-970C」。同製品は、1粒のインクドットを1.8ピコリットルで制御、2800dpi×2800dpiの解像度でダークイエローを加えた7色インクを実現した。印刷時間はA4写真1枚あたり約56秒。4色印刷ではA4写真1枚あたり約33秒で印刷できる。

 複合機プリンタでは、「PM-860PT」がメモリカードを使ったダイレクトプリントに加え、USBケーブルで直接つないでカメラ側でプリント操作する「USB DIRECT-PRINT」、ブルートゥース搭載のデジタルカメラやパソコンからワイヤレスでダイレクトプリントが可能だ。

 同社では、全国500店舗で「PM-970C」を中心とした実演コーナーを設け、消費者に実際に試してもらうことで拡販につなげる。

 一方のキヤノン。これまでの「BJ F」シリーズと「BJ S」シリーズの機能をあわせた「ピクサスi」シリーズと、複合機「ピクサスMP」シリーズで勝負に挑む。

 「ピクサスi」シリーズは、フォト画質の向上に加え、フォト画質と普通紙画質を両立。最上位機種「950i」では、最高4800dpiの高解像度とすべての印刷モードで2ピコリットルのドロップレットによる出力、A4サイズの写真の印刷で約1分の高速出力を達成した。

 「ピクサスMP」シリーズでは、プリンタとカラーコピー、スキャナの3機能に加え、ダイレクトフォトプリント機能を追加した。広告展開では、母親が子供のサッカーの試合に出場したシーンをデジタルカメラで撮影し、帰宅する父親に写真を早くみせようとダイレクトフォトを活用して印刷する、というテレビCMで消費者に訴える。

 日本HPでは、「psc」シリーズで、コピー、スキャナ、プリンタの3機能を搭載。画質は、6色印刷システムを採用した。はがきの自動両面印刷対応、前面給排紙による省スペース化も実現している。「photosmart」シリーズでは、6色印刷システムとダイレクトプリント時の3辺フチなしに対応。「deskjet」は、基本性能とコンパクトにこだわったコストパフォーマンスモデルとして位置づける。

 BCNランキングによると、今年9月における3社のシェアは、エプソンが46.8%、キヤノンが45.8%、日本HPが4.4%。今年の冬商戦は、各社いずれも目標達成に向けたシェア争いが以前にも増して激化しそうだ。
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