店頭流通

パソコン年末商戦 提案次第で需要拡大

2002/10/14 16:51

週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載

 10月も半ばに入り、パソコン年末商戦の行方が気になるところ。BCN総研をはじめ主要調査会社の見解を総合すると、依然として厳しい状況が続くとの予測が多いが、必ずしも悲観論一色ではない。買い替え需要の動きが徐々に出てきていることや、ブロードバンド化の進展、タブレットPCによる来店者数の増加など、コンシューマ需要掘り起こしの芽は散見される。一方、法人市場は、企業のシステム投資の抑制により、需要回復は来年に入ってからとの見方が強い。低迷するパソコン市場が回復に転じるには、まずはコンシューマ需要をいかに拡大できるかにかかってくる。

回復材料を実売につなげる

 BCNランキングによると、パソコンの販売台数は1-3月期が前年同期比30%減、4-6月期は同28%減、7-9月期は同23%減で推移。BCN総研では、「今年入ってから、20-30%減で推移したため、低迷の波が続くのは否めない。年末にかけても15-20%減で落ち着くのではないか」と分析する。

 コンシューマ向けパソコン市場は、今年に入ってからも低迷が続いているため、ほかの主要調査会社も、年末商戦に関しては厳しい見通しを示す。

 マルチメディア総合研究所のITプロダクトグループ広報担当・中村成希氏は、「現段階の低迷が続けば、最悪の場合、前年同期比で25%減まで落ち込む可能性がある」と指摘する。

 ガートナージャパンデータクエスト部門の蒔田佳苗アナリストは、「昨年の年末商戦と比較すればプラスに転じる」と見るものの、「需要自体が拡大するわけではない。このため、依然として厳しい状況が続くことに変わりない」と予測する。

 だが、各調査会社とも、「市況回復を促す材料を販売につなげることができれば、需要拡大が見込めるのではないか」との見方も捨ててはいない。

 需要掘り起こしの材料とは何か。 マルチメディア総研では、「12メガADSLサービスの低価格化が進んでいる。そこで、ADSLとパソコンを組み合わせた販売提案が重要となる」(中村氏)と見る。

 ガートナージャパンデータクエスト部門では、「タブレットPCが年末商戦で直接実売につながるとはいい難いが、来店者は確実に増加する」(蒔田アナリスト)と、客足の戻り自体に注目する。

 また、BCN総研では、パソコン用途の裾野拡大も1つの材料になり得ると指摘。「映像編集のニーズが高まっており、パソコンを買い替える要因になるだろう」と分析する。

 IDCジャパンの新行内久美・PCシニアマーケットアナリストは、「昨年のウィンドウズXPの発売では、消費者が様子見ということでパソコンを買い控えた。今年は、5月の部材高騰によるパソコン本体の価格上昇や6月のサッカーワールドカップによる買い控えが一層増した。だが、買い控えていた消費者がパソコンを買い替える動きが最近になって徐々に出始めている。買い替えが本格化するのは年末商戦。前年同期の10%前後で増加するのではないか」と強気の予測を示す。

 一方、法人市場は、年末までの市況が「前年同期比で横ばい」(IDCジャパン・新行内PCシニアマーケットアナリスト)、「官民とも大型案件が少なく、15%減まで下がるのではないか」(マルチメディア総研・中村氏)、「潜在需要があるものの企業が投資を抑制しているためマイナスになる」(ガートナージャパンデータクエスト部門・蒔田アナリスト)と分析しており、総じて「年末の需要喚起の材料はないに等しい」とみている。回復は来年以降に持ち越されることになりそうだ。

 かつてのiモードのように、思いもよらぬ発想がコンシューマの購買意欲をくすぐるのがIT市場の妙味。パソコン市場の回復をきっかけは、意外にコンシューマ需要に潜んでいるのかもしれない。

主要調査会社の見解

10%前後の増加になるだろう IDCジャパン

不景気の影に隠れているが、コンシューマ市場での買い替え需要が徐々に広がりつつある。また、昨年末や今年の夏商戦にパソコンを買い控えた需要の買い替えが年末商戦に集中する可能性が高い。

前年割れだろう マルチメディア総合研究所

先行き不透明な市況から消費意識が落ち込み、最大で25%減となる可能性もある。12メガADSLの低価格化により、ブロードバンドとパソコンを組み合わせた販売が購入意欲を促進する要因になるのではないか。

昨年の年末商戦と比較すればプラスに ガートナージャパン データクエスト部門

需要自体が回復しているわけではなく、依然として厳しいだろう。年末に発売予定のタブレットPCが実売につながるわけではないが、来店者数の増加につながるのではないか。

15-20%減となるだろう BCN総研

今年に入り、平均で20-30%減で推移しており、低迷の波が続くのは否めない。だが、映像を編集したいという消費者が増える傾向にあり、このニーズが買い替え需要を促進するキーワードになるだろう。
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