店頭流通

パソコン本体の販売動向 市場低迷に終止符

2003/08/04 16:51

週刊BCN 2003年08月04日vol.1001掲載

 ついにパソコンの販売実績が前年を上回った。BCNランキングによれば、2003年4-6月の段階では、ノートパソコンの販売台数だけが前年同期を上回っていたが、7月21-27日には前年同週との比較でデスクトップパソコンもプラスに転じた。電子情報技術産業協会(JEITA)がこのほど発表した03年度第1四半期(03年4-6月)の国内パソコン出荷実績も、前年同期比104%の252万4000台となり、出荷ベースでもプラス傾向がはっきりしてきた。ここにきて、パソコン市場の低迷に終止符が打たれたといえそうだ。

デスクトップ、ノートとも前年比プラスに

 BCNランキングによれば、03年4-6月におけるパソコン本体の販売台数は、ノートパソコンが前年同期の108%と前年を上回ったものの、デスクトップパソコンは同82%にとどまり、全体では同97%とマイナスになっていた。

 しかし、7月に入ってからデスクトップの販売台数が伸び、7月21-27日の週には、デスクトップが前年同週比108%、ノートが同119%となり、全体で前年を上回る結果が出た。

 JEITAによれば、出荷台数については4-6月の時点で前年同期を上回っていた。今年度第1四半期(03年4-6月)における国内パソコンの出荷台数は、前年同期の104%となる252万4000台と、2年ぶりにプラスに転じている。形状別では、デスクトップが同108%の109万1000台、ノートが同101%の143万3000台となった。

 JEITAの篠崎雅継・パーソナルコンピュータ事業委員会委員長は、「今年度当初は、イラク戦争やSARSなどで厳しくなると懸念していたが、思ったより影響はなく好調だった」と、パソコン市場が回復に向かっているとの見通しを明らかにした。

 デスクトップが比較的好調だったことについて、JEITAでは(1)ビジネス用途でのリプレース需要の本格化、(2)17インチなど大画面モデルや液晶一体型の省スペースモデルの需要増――などを挙げている。ノートは、「モバイルノート」のB5サイズモデルが同137%と好調。「パソコンの買い増し需要で、サブノートとして購入する傾向が強い」(篠崎委員長)とみている。

 企業向け市場については、「企業がIT投資促進税制を認知してきたことで、ITに関する投資意欲が高まってきている。これが出荷台数を前年同期よりプラスに押し上げた」(篠崎委員長)という。

 コンシューマ市場については、「4-6月は前年同期より若干下がった」としているが、「新モデル投入で、夏商戦は比較的順調なスタートを切っている。徐々に需要が戻りつつある」と、回復基調に転じているとみる。

 JEITAでは、「日本経済全体が回復していないこともあり楽観視はできないが、今年度通期の出荷台数見通しは達成できる」と、1020万台(前年度比104%)としていた当初の予想を修正する予定はない。

 最近の動向について大手パソコンメーカー首脳は、「すでに市場は踊り場を過ぎ、離陸する段階に入っている」と、手応えを感じている。

 00年の最盛期を境に低迷を続けてきたパソコン市場だが、ここにきて上昇の気運が高まっている。今後、新モデルの投入により需要を喚起するとともに、価格の維持を図っていく必要もあるだろう。
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