店頭流通

アイ・オー・データ機器 液晶ディスプレイで巻き返し図る TVチューナー内蔵モデルをテコに

2003/10/20 18:45

週刊BCN 2003年10月20日vol.1011掲載

 アイ・オー・データ機器(細野昭雄社長)は、TVチューナー内蔵の19型液晶ディスプレイ「LCD-TV192CBR」を今月から出荷、同機をカンフル剤に液晶ディスプレイ市場でのシェアアップに再挑戦する。BCNランキングによると、4-9月累計の同社のシェアは台数が9%、金額が8.1%でいずれも4位。中村一彦・マルチメディア事業部AVネットワーク1課プロダクトマネージャーは、「店頭市場では、国産メーカーのパネルを使い、価格競争に巻き込まれない戦略をとってきたが、現在のシェアはもちろん不本意。TVチューナー内蔵モデルを投入し、金額シェアのアップを図っていく」と話す。

 液晶ディスプレイ市場では、厳しい価格競争が展開されている。特に15型の競争は熾烈だ。15型の現在のプライスリーダーはロジテックの「LCM-T156AS/S」で、平均実売価格は3万円弱で推移している。

 液晶パネルメーカーはパネルの品薄から強気の価格設定を崩さず、ディスプレイメーカーは利益確保に四苦八苦している。

 そんななか、液晶ディスプレイは15型から17型へのシフトが進んでいる。平均実売価格が6万円を割り、値頃感が出てきたことから、ユーザーの17型シフトが進み、ディスプレイメーカーも利幅の高い17型重視の戦略を強化している。

 同社では、好みに合わせてフレームの色を交換できる「着せ替えフレーム」を採用、製品の差別化を図ってきた。「着せ替えフレームモデルの出足は計画通り。19型も計画通り進展しているが、15型の価格設定が少し高めで、これがシェア獲得で苦戦した原因。今後、法人向け市場では価格優先戦略を採ることもあり得るが、店頭市場向けではパネルには国産メーカーの製品を採用したモデルを展開し、高付加価値路線を重視していく。TVチューナー内蔵モデルの投入もその一環」(中村プロダクトマネージャー)というのが当面の同社の方針だ。

 TVチューナー内蔵モデルは、シャープ、バッファローなどが製品化しているが、市場規模は液晶ディスプレイ全体のなかで2-3%。

 「まだ市場規模は大きくはないが、それだけに有望な市場。パソコンで映像を扱う機会は確実に環境が整いつつある。映像を扱う以上、高輝度、高速応答が求められるが、今回の新製品は300カンデラ、25msの速度と、テレビを違和感なく見られるレベルを実現した。9万3000円という価格設定は、19型としては格安。市場にかなりの刺激を与えるはず」と見ている。
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