拡大するデジタル情報機器市場

<拡大するデジタル情報機器市場>12.家庭用ゲーム機(中)

2004/11/22 16:51

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

 今回は、ニンテンドー・DS(NDS)について、詳しく見てみたい。(小林孝嗣 野村総合研究所 コンサルティング部門 情報・通信コンサルティング二部)

 NDSは、ゲーム機を開くと上下に3インチのTFT液晶を2つ備え、しかも下側の画面はタッチスクリーン方式という点が、最大の特徴である。また、マイクも装備されており、その結果、上下2つの画面とタッチスクリーンおよび音声による入力を利用しながら、これまでになかったゲームの世界を提供していくことを最大のアピールポイントとしている。余談だが、ゲームでの音声入力(利用)は、任天堂はファミコンの時代から行ってきており、こだわりを持っているように思える。

 それはさておき、このような新しい機能を使って、任天堂はこれまでとは違ったゲームを生み出していき、現在のゲーム市場の“閉塞感”を打破していこうという姿勢が見える。

 実際、11月初めに開催された「ニンテンドーワールドTouch! DS」でも、これらタッチ入力や音声入力を駆使したゲームが多数一般公開されており、任天堂だけでなく、各ゲームメーカーも、このような路線に沿っているようである。

 個人的な感想でいえば、プレイステーション・ポータブル(PSP)とNDSの最初のソフトのラインアップをみると、PSPの方が今まで据置型ゲーム機でやったようなゲームの派生型が多くを占めるのに対し、NDSの方は、今までなかったタイプのソフトも多くあり、ゲーム自体の楽しみだけに限れば、NDSの方が期待感が多いように思える。

 またNDSは、ゲームボーイアドバンス(GBA)ソフトへの互換性を持っているため、新しいタイプのゲームソフト提供による新規ユーザー獲得だけでなく、既存GBAユーザーからの乗り換えも意識した作りとなっているのも重要な特徴である。

 希望小売価格を見ても1万5000円(税込み)と、これは価格改定前のGBASPの1万2500円に比べ、2割程度高いだけの設定であり、意欲的な価格と見ることができる。できる限り価格上昇を抑えたことで、既存のターゲット層である子供層から、PSPが狙うヤング-ミドル層にも、手が届きやすくなっている。

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