秋葉原物語

<秋葉原物語>[第1部 ポテンシャル]4.変えるのは人や車の流れ

2004/11/22 16:51

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

 「雑然とした秋葉原をなんとかできないか」──。東京・秋葉原地区の再開発に関わる開発事業者や行政、同地区周辺の地元町会や団体などで構成される「秋葉原駅付近地区まちづくり推進協議会」は、地区内部の連携体制を強化するとともに、開発地の整備を踏まえた開発事業者との調整作業を効果的に行うための場だ。

 千代田区の佐藤彰・まちづくり推進部開発調整主査(開発調整担当課長付)は、秋葉原の活性化のために、「この協議会が果たす役割は大きい」と言い切る。

 協議会を開催し、街作りとして実現したことの1つは歩道の設置。「高層ビルが建ち並ぶことにより、来訪者が目的の場所に遠回りをしなければ辿り付けなかったり、歩道が整備されないことで自動車との事故が起きたのでは、安心して街に来ることができない。私有地の一部を歩道に利用できないかどうか、開発事業者に協議会からお願いしたところ、すべての開発事業者が快く承諾してくれた」(佐藤主査)という。秋葉原駅西口の新歩道は、「開発事業者の協力があってこそ作れた」と強調する。

 2004年度中に決めなければならないことは、「駐車場の案内・誘導」。神田明神通りは昭和通りと中央通りの両方とも駅前道路への右折が禁止されている。来年3月の秋葉原ダイビル竣工までに、公共駐車場に入るための案内標識を設置するとともに、通行規制を変更し、右折して駅前道路に入れるように検討している。

 協議会検討項目で必要なのは、人の流れや交通の流れをスムーズにし、「地域経営の仕組みを作っていくこと」(佐藤主査)と訴える。将来的には、JRガード下の使用許可やITセンターを活用できる地域形成、循環型社会を目指した街作りなどの調整を行っていく。

 秋葉原電気街とは反対側に位置する秋葉原駅東口広場の整備工事については、今年度にほぼ完了のめどがつく。

 整備完了時には「ゆとりのある歩行者空間とバリアフリー設備の充実が実現する」。最先端のIT拠点というだけでなく、「安心」を提供できる街の形成が着々と進んでいる。(佐相彰彦)

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