全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>76.栃木県宇都宮市(中)

2005/05/16 18:45

週刊BCN 2005年05月16日vol.1088掲載

 ヨドバシカメラは、JR宇都宮駅前に「マルチメディア宇都宮」を出店し、北関東地区初進出を果たした。「まずは3年以内に栃木県でマーケットシェア20-30%を獲得したい」(阿美祥之・取締役販売本部長)考えで、さらに、「中規模都市でシェアを拡大するノウハウを宇都宮地区で蓄積していく」(同)と、全国展開に弾みをつける方針だ。

コジマ、新戦略で牙城を死守

 ヨドバシカメラのマルチメディア宇都宮がオープンしたことは、コジマやヤマダ電機、ギガスケーズデンキ、ベスト電器といった宇都宮市郊外に店舗を置く量販店が危機感を募らせるほど大きなインパクトを与えている。宇都宮市では、ユーザーの多くが家電量販店へ自動車で行く。大型駐車場を備えていることは売り上げアップの必須条件だ。こうした状況を踏まえ、ヨドバシカメラは駅前という好立地でユーザーがJR線など鉄道やバスを使って来店できるばかりでなく、周辺に約900台が収容できる駐車場を完備し郊外店の良さも取り入れている。宇都宮地域でのシェア争いに一石を投じた格好だ。

 宇都宮市を本拠地とするコジマは、「これまで以上に新規のお客さんを増やす策を考えなければならない」(小島章利社長)と気を引き締める。宇都宮が地盤の同社は知名度が高く、地域の家電量販店として確固たる地位を築いている。市内にはライバルより多い4店舗を出店。宇都宮地区のマーケットシェア拡大戦略をテコ入れしなくても多くのユーザーを囲い込んでいた。しかし、ヨドバシカメラの新規参入でトップシェアから脱落する危険性も出てくる。しかも宇都宮周辺は、競合他社の相次ぐ出店や低価格など激しい攻勢でコジマのマーケットシェアがおびやかされているのも事実。改めて「宇都宮地区でのビジネス拡大戦略を打ち出す必要性が出てきた」(同)というわけだ。

 具体的な戦略については今後詰めるが、「拡販に力を入れる商品を増やす」(小島社長)方針。ヨドバシカメラが得意とするカメラ関連機器については、「品揃えを充実させる」(同)ことなどで対抗していくという。また、「リニューアルを実施する店舗もある」(同)と守りを固める。

 電動ハイブリッド自転車で同社オリジナルの「片山右京モデル」を5月21日に発売するのもその一環だ。この商品は、宇都宮地区だけで販売を開始するというわけではないが、これまで同社のショップで自転車を購入することが少なかった男性客を対象としており、元F1レーサーのブランドを生かして、ビジネスマンの心をくすぐることを狙っている。(佐相彰彦)
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