秋葉原物語

<秋葉原物語>[第3部 ムーブメント]28.アジアからの来訪者増える

2005/05/23 16:51

週刊BCN 2005年05月23日vol.1089掲載

 最近、秋葉原地区で目立つのは、海外からの観光客や買物客が多いことだ。もともと秋葉原電気街には、免税店があり、英語や中国語に堪能な店員をフロア内に配置するショップも多い。“世界の電気街”として外国人が来店しやすい環境ができていた。しかし、ここにきてアジア各国からの買物客が増えてきたのだ。

 これは、千代田区および周辺地区の地域振興の場として発足した団体「エドバレー」が中心となって進めている千代田区周辺の観光プロジェクト「産業観光プロジェクト」など集客を高めるために“観光”を切り口に各団体がさまざまな事業が効果を発揮しているという見方もできる。

 エドバレーの産業観光プロジェクトでは、国内外からの観光客が迷わず買い物できるように多言語マップを作っている。また、ウェブによるリアルタイム情報の配信や、観光客のニーズに合ったサービスや商品の提供、地域間の移動手段の確立などを目指す。まずは秋葉原地区で成功モデルをつくり、千代田区全体の観光に生かしていく。

 秋葉原には、東京観光財団が中心となって「タウンアメニティ分科会」と呼ばれるアニメなどエンタテインメント関連の情報配信を促す取り組みもある。これは、秋葉原電気街に増えているフィギュアを扱うショップやコスプレ喫茶などを“文化”と考え、いかに多くのユーザーが気軽に来店できるかを検討するワーキンググループだ。

 国土交通省が海外からの旅行者を増やすために実施した「ビジットジャパンキャンペーン」を受け、秋葉原西口商店街振興組合や秋葉原電気街振興会などが2月5-20日にイベントなどを実施した。秋葉原地区では目標としていた5000人を上回る海外旅行者が訪れたという。

 JR秋葉原駅前の超高層ビル「秋葉原ダイビル」や飲食専門ビル「秋葉原駅前プラザビル」がオープンし、徐々にではあるが、電気街を目的としない人が秋葉原を訪れる傾向が出てきた。観光をテーマにしたキャンペーンなどが次々と実施されれば、秋葉原地区がパソコンやアニメの“おたく”だけが集まる場所ではない、広い意味での観光スポットとして認知されることになる。秋葉原が別の顔を見せ始めている。(佐相彰彦)
  • 1