秋葉原物語

<秋葉原物語>[第3部 ムーブメント]32.家電量販、夏商戦本番へ

2005/06/20 16:51

週刊BCN 2005年06月20日vol.1093掲載

 梅雨入りを迎えて、家電量販業界でも夏商戦の本番が幕を開ける。気温の上昇とともに秋葉原電気街のショップが活気づき始めている。

 今年夏に向け、エアコンの販売キャンペーンを実施するショップが増えた。昨夏は、気温30度を超える真夏日が連続する猛暑だったため、各ショップともに「エアコンが飛ぶように売れた」と思い出すだけでも笑いが止まらない様子。もちろん昨年に引き続き、今年も猛暑を予想して、各ショップとも昨年より早い段階でエアコンの販売を軌道に乗せようとしている。

 液晶テレビなど薄型テレビの販売増に意欲を燃やしているショップも多い。昨年はアテネオリンピックの影響で液晶テレビなど薄型テレビ市場が急速に成長した。今年は昨年のような市場の起爆剤があるわけではない。しかし液晶テレビの価格が下がり、1インチ1万円以下が当たり前になったことで一段と需要が増えるとみて、薄型テレビも夏商戦の目玉に据える。サッカー日本代表がいち早く来年のワールドカップ進出を決めたことも、需要に追い討ちをかけそうだ。

 その一方で、パソコンおよび関連機器は5月に台数で前年同月を上回ったものの、薄型テレビに比べ販売が鈍いという。各メーカーは夏商戦向けに製品を市場に投入したが、ショップにとっては現段階で売れ筋アイテムとして位置付ける状況にない。今年の主流は、テレビチューナーなどを搭載したAV(音響・映像)パソコンであり、コンセプトが昨年同様にテレビ番組の視聴が可能で、録画できるというもの。ところが、薄型テレビの価格が下がり、値頃感が出てきているため、「薄型テレビとDVDレコーダーを買うよりもAVパソコン1台の方が得」という価格面でのアピールが通用しなくなっているわけだ。

 また、組立パソコン用パーツ専門店は映像ブームが過ぎ需要が一巡した昨夏以降、販売不振が続いている。「話題性のある商品がなかったことが原因」と、電気街のパーツ通りに店を構えるショップ関係者は嘆く。

 JR秋葉原駅の電気街口の駅前広場や反対側の昭和通り口前が急速に変貌を遂げている一方、メインの電気街にある家電量販店やパソコン専門店は駅前と比べ進化が遅れている雰囲気がある。こうした事象を察知してか、まずはユーザーの購入意欲をかきたてることを目指し、ジメジメしたイメージを払拭するため電気街でのイベントを増やすなど、街の活性化に力を入れるパーツメーカーも出てきた。(佐相彰彦)
  • 1