秋葉原物語

<秋葉原物語>[第3部 ムーブメント]34.企業ユーザーを取り込め!

2005/07/04 16:51

週刊BCN 2005年07月04日vol.1095掲載

 秋葉原では、法人ユーザーに目を向けたビジネスが活発になっている。まず、電気街の中央通りと交差する神田明神通りには、ラオックスの大型パソコン専門店「ザ・コンピュータ館」がある。さらに、電気街の名物店主と言われた、ぷらっとホームの本多弘男会長が立ち上げた秋葉原の店舗、さらにハイパーコンセプションの「サウスウィンド」でも法人向けをメインに商品を扱っている。

 ラオックスのザ・コンピュータ館では、地下1階を「法人フロア」にして、レーザープリンタを販売しているほか、勘定系システムや小売業向けPOS(販売時点管理)システムなどを展示している。5階では、システム開発を手がけるビジュアル・テクノロジーの高性能サーバーコーナーを設けた。

 ぷらっとホームの秋葉原店舗では、LinuxなどOSS(オープンソースソフトウェア)をベースとしたサーバーなどを販売しており、大学や研究機関などを顧客ターゲットにする。ハイパーコンセプションのサウスウィンドでは、パソコンおよび関連機器に加え、オフィス家具や文房具なども扱っており、SOHOや中堅・中小企業を狙って売り込みを図る。

 こうした企業向け店舗が増えてきたことで、法人ユーザーが自然に秋葉原に訪れる傾向が出てきた。JR秋葉原駅前の超高層ビル「秋葉原ダイビル」内の最先端技術を開発するためにベンチャー企業や大学などがテナント入居している「産学連携機能フロア」もそれに拍車をかける。このフロアを見学する企業は多い。産学連携を謳うだけに、新技術をパッケージ化して販売することや、ビジネスソリューションとして提供することに興味を示す企業が関心を寄せているというわけだ。

 また、「電気街との連携も強めていく」(秋葉原クロスフィールドの山本俊行・ゼネラルマネージャー)というコンセプトから、ザ・コンピュータ館やぷらっとホーム、サウスウィンドなどと法人向け製品を共同開発して店頭で販売する可能性がないわけではない。

 秋葉原で新しいITビジネスの潮流が生まれつつあるだけに、電気製品を買う個人客や外国人観光客、オタク、マニアだけではなく企業ユーザーという新しい“住人”の顔もよく見られるようになってきた。(佐相彰彦)
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