店頭流通

クイックサン 携帯電話でパソコン操作 専用受光器接続でキーボード代わりに

2005/07/04 17:00

週刊BCN 2005年07月04日vol.1095掲載

 パソコンおよび周辺機器メーカーのクイックサン(安達寛高社長)は、携帯電話をパソコンのキーボード・マウスとして利用できる技術を開発した。パソコンに専用の受光器をUSB接続し、赤外線通信機能付き携帯電話に専用ソフトをダウンロードすることで、携帯電話でパソコンを操作できるようになるほか、URLを送信できるようになる。同社では、パソコンメーカーや携帯キャリアに受光器の売り込みを図っており、すでに「大手パソコンメーカーと商談が進んでいる」(安達社長)という。今後、同社の独自ブランドの大画面テレビとパソコンに受光器を付属して販売していくことも視野に入れ、ハードウェアとコンテンツサービスの開発を本格化に進めていく方針だ。

 クイックサンは、大手メーカーに「携帯電話でパソコンを操作できる」付加価値を提案し、「携帯電話対応パソコン」として既存のパソコンと差別化を図れることをアピールする。パソコンへのバンドルのほか、携帯電話へのバンドルも狙う。店頭での単体売りも考えており、「まずは来年3月までに100万個を普及させる」ことを目標に、「向こう3年間で1000万個」を狙う。

 携帯電話がパソコンのキーボードとして操作できるようになると、「パソコンのキーボード入力よりも携帯電話の操作に慣れている人をパソコンユーザーとして取り込む」(安達社長)ことができる。パソコンメーカー側は「携帯電話対応パソコン」として付加価値をつけることで、新規需要の掘り起しも見込める。

 パソコンを携帯電話で操作できるようにするには、赤外線通信機能を持った携帯電話端末に専用のソフトウェアをダウンロードする必要がある。NTTドコモの携帯電話の場合、ユーザーは「iアプリ」対応の端末を使って、同社の専用ソフトをダウンロードする。NTTドコモ以外の携帯電話事業者にも対応していく計画。パソコン側は、受光器をUSB接続するだけで利用できる。

 利用シーンとして、モバイルEC(電子商取引)サイトの情報を携帯電話で調べ、本格的なショッピングは自宅に帰ってから受光器に情報を送信してパソコンで行う、などが考えられる。また、電車内や雑誌の広告などにあるパソコンサイトに誘導するといった使い方もできるという。

 この仕組みを使えば、「サイト運営者や広告主は、携帯電話を主に使う個人ユーザーをパソコンサイトに誘導しやすくなる」(安達社長)。すでに、モバイルコンテンツの企画・開発などを行うゆめみ(東京都港区、深田浩嗣社長)が採用を決定、共同開発を進めている。

 クイックサンでは、「だれでもITのインフラを気軽に活用できるよう、簡単にコンテンツを使える仕組みを低価格で実現させる」として、今後はコンテンツサービスの開発も本格化していく方針。
  • 1