全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>98.東京都北区(上)

2005/10/24 18:45

週刊BCN 2005年10月24日vol.1110掲載

 東京都北区は、家電量販店やパソコン専門店が主要道路のロードサイドで出店していない珍しい地域。幹線道路沿いではなく、大型スーパー内などにテナント出店している。テナント出店している主要なショップは、ベスト電器の「ダイエー赤羽店」やサトームセンの「Dマート赤羽店」など。激しいマーケットシェア争いは、食料品や生活雑貨を買うためにスーパーを訪れる地元住民をいかに優良顧客として確保できるかにかかってくる。

接客重視でリピーター確保

 ベスト電器のダイエー赤羽店では、40歳以上の主婦を顧客として増やすことに力を注いでいる。石松真司店長は、「商品をゆっくりと見てもらうため、薄型テレビなど売れ筋商品コーナー内の通路は広く確保している」と、来店者がストレスなく商品を購入できる環境を整えている。商品の展示やPOPは分かりやすいことをコンセプトに、機能に合わせた用途の説明を徹底している。

 買い物客が同店にも足を運ぶように、電池や電球など消耗品のアイテム数も充実させている。消耗品は、「2-3度来店しているうちに、液晶テレビや冷蔵庫などを購入するようになる重要なアイテム」という。消耗品購入のリピーターが大型商品を購入する要因は、「単に売るだけでなく、世間話でコミュニケーションを図るなど、お客さんが気軽に来店するような接客を徹底している」ためとか。加えて、「スタッフがすべての商品知識を持つ」ことが新規顧客を優良顧客として確保する秘訣だ。「パソコンの購入者が将来的に白物家電を購入する可能性もある。お客さんに指名で購入してもらうような人材にスタッフを教育している」とアピールする。

 ベスト電器のダイエー赤羽店がある地区は、「東京都板橋区や埼玉県川口市など周辺地域の顧客が赤羽に訪れることは少ない」と、商圏は狭いという。その理由として、「JR赤羽駅や東京メトロの赤羽岩淵駅があり交通の便が良いので、地元の若い住民はショッピングに出かけるために都心まで足を運んでしまう」と、顧客が限られていることを挙げる。そこで、家庭の財布の紐を握る主婦が来店しやすい店づくりに専念したというわけだ。

 1日平均のレジ通過数は、平日が300人程度、休日には600人を超える。購入者の6割が40歳以上で、「大型商材を購入する、ほぼすべてがリピーター」という。40歳以上を優良顧客として確保することで「2005年度(06年2月期)の売上高は、前年度比10%増以上」と自信をみせる。(佐相彰彦)
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