石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>31.(最終回)どうなる?!次世代DVD(2)

2005/11/14 16:51

週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載

 HD DVDはROM、ブルーレイはRE(書き換え型)。立ち上げ当初はこのように棲み分けるといわれていた時期もあった。しかし、昨年末から今年初頭にかけて、ハリウッドの映画産業を巻き込んでのROM合戦になったため、どちらがどうという部分が非常に曖昧になっていた。  ただ、今回の両陣営の発表を見ていると、やはり当初の「HD DVDはROMが先行」し、「ブルーレイは書き換え型が先行」しているという事情には変わりがないようだ。

 HD DVDは、すでにコンテンツ保護に関してコンテンツホルダーと具体的な条件を詰めている。これは大きなアドバンテージとなっている。だがブルーレイも基本的には同じコンテンツ保護技術である「AACS」(アドバンストアクセスコントロールシステム)を採用しているのだから、HD DVD並みの譲歩をコンテンツホルダーから引き出すのも、それほど遠くはないはずだ。

 また記録型に関しては、ブルーレイが先行してさまざまなアイデアを出してくると思われる。それもまた今度はHD DVDが追従することで、追いつくのは時間の問題。両者に差があるのは容量だが、HD DVDは三層メディアの可能性までを示唆していることから、この違いもさして大きなものではないように感じる。つまり、DVDの時もいろいろな論争があったが、二者が並列状況で競争しているうちは、決定的な差など生まれないのではないだろうか。

 両者に共通して問題点があるとすれば、「映画というコンテンツ」を記録するということになるだろう。素材が主にフィルムなだけに、プログレッシブスキャンの方が作成の手間がかからないうえ、画質も圧倒的に有利になる。これは、単純に平面方向のピクセル数だけでは、画質の優劣は決まらないからだ。そうなると720Pが有力となる。現在の主流はD4、720p(プログレッシブスキャン)対応のテレビだが、つい2年ぐらい前まではD3、すなわち1080i方式までしか対応していないハイビジョンテレビも相当数あった。ただし、ハイビジョン放送が1080iであるため、それでも困らないという現状がある。

 そこで、両者の映画の記録フォーマットはどちらになるのだろうか。両方のバージョンを同時収録するのだろうか。まさか、「鮮明画像を楽しむためには、テレビを買い換える必要があります」などとアナウンスもできない。もしかしたら、それを言い出した方が、白旗を揚げたということになるのかもしれない。(終わり)
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