全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>101.《最終回》東京・秋葉原地区(下)

2005/11/14 18:45

週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載

 秋葉原電気街の組立パソコン用パーツ専門店がパソコン本体やホワイトボックス、サプライ品などパーツ以外の販売に力を入れ始めている。ヨドバシカメラ「マルチメディアAkiba」のオープンや、首都圏新都市鉄道の「つくばエクスプレス」開通で、パーツユーザー以外の集客率が高まっているためで、新規来訪者を獲得することが狙いだ。

新規客取り込みに知恵絞る

 アロシステムが関東地区の中核店舗に位置付けるパーツショップの「ツートップ秋葉原本店」は、11月末から12月初旬にかけて行う年末商戦に向けてのリニューアルで、ホワイトボックスやBTO(受注生産方式)パソコンを店の出入り口近くに展示する計画だ。金子潤一店長は、「当店の優良顧客は、パーツユーザーがほとんど。ところが、最近は休日になると家族連れが来店する傾向が高まっている。新たな客層を取り込むためにも「ツートップがパーツだけでなく、パソコンも販売していることをアピールし、パーツユーザー以外の購入層にも訴えていく」。

 サードウェーブでは、秋葉原の旗艦店「ドスパラ本店」で液晶テレビやDVDレコーダーなどデジタルAV(音響・映像)機器を来年早々、販売開始する予定だ。現段階は、自社ブランドのオリジナルパソコン「プライム」シリーズや、9月から販売を開始したマウスやキーボードなどサプライ品のオリジナルブランド「Dプロ」シリーズでパソコン初級者を顧客として獲得している。「レジ通過数は、駅前が発展する前と比べ、パソコン初級者の来店が増えたことで2割程度アップしている。需要が高まっているデジタル家電についても、店頭に並べればパソコン初級者も購入していくはずだ」(甲斐元浩・ドスパラ事業部MD課マーチャンダイザー)と見ている。

 パーツユーザー以外の顧客を増やしたいからといって、パーツの販売を縮小するというわけではない。「パーツのアイテム数は、B級品を中心として、年末商戦までに現状の20%増にする」(金子・ツートップ秋葉原本店長)、「NASを家庭内で構築したいというユーザーが増えているため、ストレージ関連の商品は今後も充実させていく」(亀田光功・ドスパラ本店店長)という。

 ヨドバシカメラの進出で、業態変更や新しい商品の販売を始めるなど電気街は急ピッチで生き残り策を模索中。多くのショップが軒を連ね、ほかの地区よりも新しい商品を販売していることや、週末の安売り合戦などを繰り広げている電気街だが、各ショップのビジネス強化でさらに競争が激化し、“日本最大の激戦区”として、ますます名を馳せることになりそうだ。(佐相彰彦)
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