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カシオ計算機 電子辞書の音声機能モデルが好調 今後は標準搭載機能に

2006/04/17 18:45

週刊BCN 2006年04月17日vol.1134掲載

 カシオ計算機(樫尾和雄社長)は、電子辞書「エクスワード」シリーズに音声機能を標準搭載していく。今年2月に発売した新製品15機種すべてに音声機能を搭載。現行ラインアップ全18機種のうち、16機種が音声機能を搭載している。BCNランキングによれば、電子辞書市場における同社のシェアは、2005年1-12月で台数、金額ともに50%弱を占めている。今年3月の機種別シェアの1-2位はカシオの新製品で、音声機能搭載機種。この2機種で15.3%のシェアを獲得。メーカー別販売金額シェアの拡大に貢献している。

 カシオは、2年前に発売した第二外国語辞書で、音声対応と未対応機種を発売したが、「音声対応モデルが圧倒的に売れた」(開発本部事業企画部企画一課・堀清司氏)経緯があり、音声対応に強いニーズがあることが判明した。さらに、今年1月の大学入試センター試験に英語のリスニングテストが開始されたことが追い風となり、受験生の間で音声対応機種が注目を集めた。

 辞書コンテンツは、電子辞書本体を購入した後に追加できるが、「本体の音声対応機能は、後から追加できるものではない」ため、今後は「基本的に音声機能を標準搭載にしていく」方針だ。

 同社の調べによる国内電子辞書市場は、04年度が335万台、05年度は330万台。06年度については340万台と予測しており、台数規模は横ばい。しかし、販売金額では05年度比9.2%増の655億円に拡大すると予測している。

 BCNランキングによるカシオのシェアは、05年1年間で販売台数が46.6%、販売金額は49.8%を占めていたが、今年3月の月次データによると、2月に発売した音声対応の新製品2機種が1-2位を獲得した。「高価な音声対応機種のほうが好調に売れており、単価アップに貢献した」ことで、販売金額シェアは58.4%に増加している。

 同社では今後、音声機能モデルを充実させるほか、筐体の堅牢性を一段と高めていく方針。「辞書コンテンツでの差別化は難しい」と考えており、本体に搭載しているUSB端子をパソコンと繋げれば追加コンテンツを簡単にインストールできるなど、ハードウェアの優位性をアピールしていく。

 別売りの追加コンテンツは、データカードを本体に差し込む方法か、CD-ROM版の追加コンテンツをパソコン経由で電子辞書本体にインストールする方法がある。これに加え、4月5日から12月26日までの限定で、「XD-GT/ST」シリーズ購入者向けに、同社のサイトから「音声収録版スペシャルコンテンツ」を無料でダウンロードできるキャンペーンを行う。

 ブロードバンドが普及したことから、コンテンツのダウンロード販売を模索している。しかし、「ユーザーに占める学生や高齢者の割合が高いことから、代金の決済方法などに課題がある」とみており、慎重に検討していく姿勢だ。
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