大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>101.三洋電機が新中計で取り組む環境戦略

2008/06/16 18:44

週刊BCN 2008年06月16日vol.1239掲載

 三洋電機が、2010年度を最終年度とする新しい中期経営計画(中計)を発表した。佐野精一郎社長は、「過去3年間の前中期経営計画は経営再建に取り組んできた。07年度は4年ぶりの最終黒字。全社構造改革の結果、収益、財務面ともに着実に回復している。一定の成果が出せたと考えている。これをベースに、新中期経営計画では成長路線を打ち出し、高収益基盤の確立を目指す」と、新中計の狙いを語る。

■選択と集中で巨額投資

 同社の07年度売上高は、前年度比7.2%増の2兆178億円、営業利益は78.7%増の761億円、当期純利益も741億円改善し、287億円の最終黒字。「安定的に500億円以上の営業利益を出せる収益基盤を確立できたこと、有利子負債を大幅に削減したことで財務体質を安定させることができた。加えて、財務諸表のゴーイングコンサーン注記を解除できたことは大きな成果といえる」と説明した。

 新中計を「成長路線」とすることは、「過去最大規模の設備投資を行う」という宣言からも裏付けられる。3か年の設備投資計画は3600億円。これまでの3か年に比べて約1300億円も増額する。なかでも成長事業とする二次電池、ソーラー、電子部品の部品3事業において、7割を占める約2500億円を投資する考えで、選択と集中に向けた投資を戦略的に加速し、高収益基盤の確立を急ぐ。

 だが、08年度見通しは、売上高は0.1%増の2兆200億円とするものの、営業利益は34.3%減の500億円。成長戦略を掲げながらも、計画初年度が減益の計画。佐野社長はこれに関して、「二次電池や太陽電池などの将来の旺盛な需要に対応するために、戦略的な投資を前倒しで行うことから、減価償却費としてマイナス150億円、海外の人員増による固定費増加でマイナス60億円などを見込んでいるのが原因」とする。

 最終年度となる10年度には、売上高目標を2兆3800億円、営業利益の必達目標として900億円、チャレンジ目標として1000億円を掲げ、ゴールとして高いハードルを設定する。

■環境先進企業に飛躍

 もうひとつ、同社が目標とするのが、2020年に向けた環境・エネルギー問題への取り組みだ。

 「太陽光発電では2010年には世界シェアの10%、2020年には10-15%を獲得し、4GWの生産能力を目指す」とするほか、「2020年には累計1300万台のHEV(ハイブリッド電気自動車)に当社製電池を搭載し、HEV市場において40%のシェアを獲得したい。さらに、eneloop(充電式ニッケル水素電池)事業においては、2020年には一次電池の100億個を二次電池に置き換えたい」としている。

 これらの施策により、2010年には、事業活動によるCO2排出量と、商品によるCO2排出抑制量が同等な状態となるカーボンニュートラルを達成できるとし、「環境貢献において特徴のある企業といわれるポジションを目指す。1兆円規模の環境先進企業に飛躍する」というわけだ。

 成長戦略へのシフトチェンジでは競合他社に遅れたが、環境戦略では一気にリーディングカンパニーの座に躍り出るための基盤づくりが、新しい中期経営計画の隠れた施策となる。
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