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日本エイサー、店頭開拓に流通卸の力欠かせず

2008/06/30 18:45

週刊BCN 2008年06月30日vol.1241掲載

 東京都内、ある家電量販店のPC売り場。ここでは、国産トップメーカーと同等レベルの展示面積を持つ外資系企業がみられる。台湾のPCメーカー、エイサーだ。世界のPC市場では第3位ながら、日本ではトップ10にも入れない。シェアは低いのに、大手家電量販店ではまるでトップメーカーのような存在感。2008年、日本エイサーは店頭販売にドライブをかけている。

ディストリビュータとの絆を最優先に

―日本エイサー 小宮山智昌営業本部本部長

 仕掛けたのは営業本部長の小宮山智昌。ちょうど1年前、日本エイサーに籍を置いた小宮山は、流通網の再整備、ディストリビュータとのパートナーシップづくりを最初の仕事に選んだ。エイサーはグローバルでは直販しない主義。商売の基本は、店頭や卸販売会社と協力することで広い販売網をつくり、利益をシェアする“インダイレクト”モデル。ただ、小宮山がディストリビュータを大切にするのはそれだけが理由ではない。

 日本エイサーに移籍する前、彼は家電量販店とディストリビュータで勤務していた。在籍期間は合計25年以上になる。その間、一貫してIT関連機器の販売に携わっていた。「店頭で自社商品を置くためには店頭とメーカーの橋渡し役になるディストリビュータの力が欠かせない」。自身がメーカーから商品を調達して売っていたからこそ、メーカーに立場を変えた今、店に商品をたくさん置くために大切なことや、流通業者との連携ノウハウも知っている。

 流通網の整備がひと段落した今、小宮山が気にしているのが商品力。「トレンドにマッチした商品をいかにタイムリーに出せるか」。外資系の場合、まず本国で販売しその後他地域に展開するのが一般的。となると、どうしても時差が生まれてしまう。エイサーも例外ではなく、日本は4番目だとか。「順番を待っている間に売れ時が過ぎてしまうのではないか」。不安がつきまとう。だが、それも改善しつつある。

 PC市場ではいま、モニタ10インチ未満の超小型ノートPCが旬だ。その人気は今夏に火がつくとみる。8月、日本エイサーは8.9型モニタのノートPC「Aspire one」を日本で売り出す。(文中敬称略)(BCN・木村剛士)

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外部リンク

日本エイサー=http://www.acer.co.jp/