店頭流通

どこでも使えるミニPC ケータイとはひと味違う活用法とは?

2008/09/15 16:51

週刊BCN 2008年09月15日vol.1251掲載

“持ち運べる”利点をフルに生かす

 最近、小型で低価格のノートPC「ミニPC」の売れ行きが好調だ。代表的な製品はASUSTeK Computerの「Eee PC」だが、そのほかにも日本HP、日本エイサーといったメーカーもこの市場に新製品を投入してきている。その魅力を探りながら、活用方法をまとめた。

魅力は安さと軽さ

 このところ売り上げ急上昇の「ミニPC」。人気の秘密はなんといっても価格の安さにある。売れ筋のノートPCは10万円台前半のものが多いが、その半額の5万円前後で手に入る。しかも小さく軽い。ほとんどが1kg前後と、一般的なノートPCの半分から3分の1程度の重量だ。大きさもB5サイズ程度だから、いつもカバンに入れて持ち歩いてもあまり苦にならない。

 一方で、ミニPCはその「安さ」を実現するため、機能やスペックは抑え気味。例えば、ASUSの「Eee PC 901─X」の場合、バッテリー駆動時間は8.3時間。記憶装置にSSDを採用するものの、その容量は12GBしかない。20GBの無料Webストレージが付属するが、やはり少々物足りない。一方、120GBのHDDを搭載する日本エイサーの「Aspire one」は、バッテリー駆動時間が3時間と短めだ。

 こうした長所短所を併せ持つミニPCだが、実際にどんな活用場面があるのかを考えてみた。

携帯の手軽さを大きな画面で

 最も一般的なのは、外出先でネット接続する利用法だろう。公衆無線LAN回線や携帯電話回線を使ってネットに接続すれば、公園やカフェでもメールやニュースをチェックできるし、気になった風景をデジカメで撮影し、その場でブログを更新したりと、機動力を生かした使い方ができる。

 もちろん、携帯電話でも同様のことはできるが、快適さではミニPCに軍配があがるだろう。例えばWebサイトの閲覧でも、3インチ前後の小さな携帯電話で、あちこちスクロールしながら見るより、8インチ程度の大きな画面をもつミニPCのほうがはるかに使いやすい。さらに、携帯電話ではFlash表示に対応していないものが多いが、ミニPCなら、いつも自宅で見ているサイトをそのまま見ることができる。チューナーをつければワンセグも大きな画面で楽しめる。

 入力する際にも便利さが際立つ。小ぶりだが両手で打てるフルキーボードを搭載しているから、ちょっとした長文でも楽に素早く入力できる。また、OSがWindowsなら、ブラウザやメーラー、ワープロなど、普段使い慣れたソフトが外出先でも同じように使えるというのは意外に使い勝手がよい。 従来の外出時のお供といえば、文庫本や携帯ゲーム機などが一般的だったが、低価格の製品が一気に増えたことで、ミニPCもそのお供の仲間入りをするかもしれない。街角のカフェに立ち寄り、カバンからミニPCを颯爽と取り出し、ネットやワンセグを楽しむ。そんな使い方も普通になってきそうだ。

自宅でも使う場所を選ばない

 小さく軽いことを武器に外出先で威力を発揮するミニPCだが、自宅でも活躍の場は多い。自宅で使うPCといえば、一度設置した場所からはあまり動かさないで使うことが多いだろう。デスクトップはもちろんだが、ノートPCも省スペースの据え置きPCとして使うケースが多かったからだ。

 しかしミニPCほど小さく軽量なら、必要に応じていろんな場所に持ち運んで使える。居間や寝室はもちろん、トイレでPCなんてことも可能なわけだ。無線LAN環境があればなおのこと、文字通りホームネットワークを思う存分活用できる。

 子ども向けの用途も考えられる。ミニPCは画面やキーボードのサイズが通常のノートPCよりも小さめで、大人にとっては若干使いにくい。しかし、子どもにとってはそのサイズはむしろちょうどよいとも考えられる。1kg程度なら、重さもさほど問題にはならないだろう。また、誤って壊してしまっても、5万円前後の低価格だからダメージはそれほどでもない。ASUSでは、EeePCを教育現場でも活用しようと考えており、「子ども用のPC」という面でも利用価値がありそうだ。

 このように、ミニPCは持ち運びが簡単で使う場所を選ばないという特性を生かした、さまざまな活用方法が考えられる。ユーザーのアイデアしだいで、楽しみ方が大きく広がるマシンである。これまでにない、新しいジャンルのノートPCとして、いっそう拡大していきそうだ。(山田五大)

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