店頭流通

丸紅インフォテック UMPCの法人販売を本格展開 シンクライアント化で需要開拓

2009/06/01 18:45

週刊BCN 2009年06月01日vol.1286掲載

専門組織を設置し本腰入れる

 丸紅インフォテック(天野貞夫社長)は、UMPC(ウルトラモバイルPC)の法人需要を開拓する。UMPCをシンクライアント化することでセキュリティ面の信頼性を訴え、サーバーと組み合わせて売り込む。事業拡大に向け、今年度(2010年3月期)から専門組織「UMPC推進室」を設置した。世界同時不況で企業の業績が悪化し、設備投資を控える動きが顕著な状況下、低価格のUMPCで需要を喚起したい考えだ。

 丸紅インフォが販売するUMPCとは、ネットブックやミニノートとも呼ばれる5万円程度の低価格PCを指す。コンシューマ向けに、ASUSやエイサーなど台湾勢が先行して市場投入したほか、今ではNECや富士通など国内メーカーも提供している。

 メーカーはコンシューマ市場で販売に力を入れている。しかし、法人市場ではユーザーがほとんどいないのが実状だ。不況でコスト削減を進める企業にとって、低価格のUMPCには魅力を感じるものの、データ保護などセキュリティ面が課題だったのがその理由だ。丸紅インフォでは、UMPCメーカーと組み、シンクライアントなど法人向けにPCをカスタマイズすることで課題をクリアした。また、営業部門にUMPC事業を専門に手がける組織「UMPC推進室」を立ち上げ、今年4月から本格的な営業活動を開始。法人に対しての販売に踏み切った。

 UMPCは、コンシューマ向けに昨年から市場に投入された。発売と同時に低価格で人気を集め、市場が一気に拡大した。BCNランキングによると、ノートPC全体に対するUMPC構成比率は09年4月時点で前年同月比で5倍以上の伸びを示している。丸紅インフォも、コンシューマ向けUMPCの販売が好調。UMPCの売上高は、08年度に全売上高の10%以上を占めた。利益率も高いことから、落ち込む法人需要を補い、同社の業績に大きく寄与した。

 UMPCに関しては、コンシューマ需要が一巡しつつあることから、今年度に売り上げが鈍化する可能性がある。それを補うには、新しい販路を開拓しなければならない。法人市場での需要掘り起こしは、これまで手がけたディストリビュータやSIerなどがいないことから未知数だが、丸紅インフォでは模索しながら進めていく方針だ。(米山淳)

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