店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】AOSテクノロジーズ (上) ユーザーの「生」の声に触れてきた

2009/11/20 18:45

週刊BCN 2009年11月23日vol.1310掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(上)では各社の販売戦略や体制を、(下)では現場の奮闘ぶりを追う。

西谷考弘 取締役
 AOSテクノロジーズは、データ復元ソフトやPC環境移行ソフト、データ抹消ソフトなど、50アイテムのラインアップを揃える。創業以来、データの保全に着目し、2000年からデータ復元ソフト「ファイナルデータ」を販売してきた。

 西谷考弘取締役は「一般の人は、データのバックアップをなかなか行わない」と、システムメンテナンスソフトが知識に乏しいライトユーザーにまだまだ浸透していない実状を語る。ただ、「システムメンテナンスソフトは前年比でプラスの実績」で、市場には伸びしろがあると考えている。そこで、「システムメンテナンスは難しいという先入観を覆す」(西谷取締役)ために、常に使いやすさを念頭に置いて製品開発を進めてきた。西谷取締役自身は根っからの技術者。「機能面ばかりに目が向き、ユーザーの視点がなおざりになっていた」と当時を振り返る。

 同社は、「使いやすい製品を提供できているか」(西谷取締役)と自問自答を繰り返している。“つくり手”の目線にとどまっていないかと常に意識し、製品の改善に取り組む姿勢を崩さない。同社がとくに力を入れるのは「サポート」だ。コールセンターへの問い合わせはすべてデータべースに蓄積し、社内の開発部隊にフィードバックする。製品の問い合わせに応じたり、ユーザーからの不満などに耳を傾けたりして、「最前線の『生』の声に触れる」(西谷取締役)ことで、ライトユーザーの不安や、悩みを吸収してきた。

 ホームページでもFAQを充実させており、徹底的にユーザー本位のサービスを提供する体制を構築している。製品マニュアルは丁寧なつくりで、「ユーザーが全部は読まないかもしれない」と、制作した本人が苦笑いするほど分厚くなっているが、同社の地道な努力は着実にライトユーザーのすそ野を広げてきた。

 同社は、BCNランキングのシステムメンテナンス部門で2007年度以降、メーカー別売上金額シェアのトップを走る。(信澤健太)

・(下)に続く
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