頂上熱戦

【頂上熱戦】「電子辞書」 カシオ計算機とシャープ(前編)

2010/03/11 18:45

週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)カラー液晶について (2)新たに追加したラインは (3)コンテンツに対する考え

(左から)カシオXD-A8500、シャープPW-AC110


Answer.カシオ計算機

柿元卓
営業本部
戦略統轄部
コンシューマ戦略部
CES企画室室長
(1)【カラー液晶】当社として初めてカラー液晶を採用し、新製品全機種に搭載した。ただ単にカラーにしたわけではなく、今までの電子辞書の機能を損なわないということを確認したうえで、移行に踏み切った。いちばんのネックは電池寿命。新製品にはバックライトの消費電力を抑える「Blanview液晶」を採用し、カラーで約150時間駆動を実現することができたため、製品化した。

(2)【新ライン】20~30代のビジネスマンは、電子辞書をあまり使ってくれない。しかし、厳しい経済状況下で、資格を取得してスキルアップしたいという社会人が増えている。そこで、新ラインとして、TOEIC、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの試験を体験できるコンテンツを収めた「XD-A8500」を投入した。男性社会人は調べものをする際にiPhoneを活用する人が多いが、女性はまだまだ電子辞書のユーザーとして取り込めると思う。

(3)【コンテンツ】当社はユーザーを細かく分類し、最適なコンテンツを搭載することで新しい層を取り込んできた。新製品は、ドイツ語、フランス語、中国語など、全7か国語それぞれに特化したコンテンツを収めた7機種を投入。7か国語を揃えているのは当社だけだ。高校生向けの「XD-A4800」には、高等学校でいちばん多く使われている『山川 日本史小事典』『山川 世界史小事典』を収録することにこだわっている。今後も最適なコンテンツを組み合わせ、精査しながら最適と思うものを加えていく。


Answer.シャープ

樋口斉
パーソナルソリューション
事業推進本部
パーソナルソリューション
事業部
国内営業部部長
(1)【カラー液晶】当社は、2002年にいち早くカラー液晶の「PW-C 5000」を投入した。辞書を引くだけならモノクロで事足りるが、写真や図の表示には、やはりカラーが適している。ユーザーは、カラーのほうが見やすいと気づいた。今年は他社も含めて完全にカラー化の流れだ。当社は今後もユーザーのニーズを引き出すようなモデルを投入して、トレンドをつくっていきたい。

(2)【新ライン】電子辞書は、高校生時代に買ったものをずっと使い、就職すると疎遠になってしまうケースが多い。当社は、ビジネス層を新たに取り込むため、主要な50コンテンツを収録しながら、コンパクトサイズでビジネスマンが持ち運びしやすい「PW-AC110」と、パソコンに迫る機能を備える5型のモバイルインターネット端末「NetWalker(ネットウォーカー)」に、約7種類の辞書を収録した新製品を投入した。

(3)【コンテンツ】昨年まではどれだけ数多くのコンテンツを収録するかの競争だった。しかし、コンテンツは使わなければ意味がない。今年はアプローチを変え、カラー表示を生かして動画を走らそうと考えた。例えば、学生向けモデルには、普段満員で受けることが難しい、塾のカリスマ講師の授業の動画サンプルを収録した。完全版はダウンロードで購入できる。これにより、どこにいても好きな時間に授業を受けることができる。とくに若者は目や耳から入ってくる情報量が多いので、動画学習は効果的だ。

・(後編)に続く
  • 1

関連記事

【頂上熱戦】「電子辞書」 カシオ計算機とシャープ(後編)

電子辞書の二極化が鮮明に 辞書数の搭載数で分類