頂上熱戦

【頂上熱戦】「電子辞書」 カシオ計算機とシャープ(後編)

2010/03/18 18:45

週刊BCN 2010年03月15日vol.1325掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

・(前編)から読む

Question. 販売戦略は?

【共通質問事項】 (1)販売施策 (2)今後の市場 (3)電子辞書のこれから



Answer.カシオ計算機

柿元卓
営業本部
戦略統轄部
コンシューマ戦略部
CES企画室室長
(1)【販売施策】20~30代のビジネスマンだけでなく、中学生もあまり電子辞書を活用していない。そこで、2010年は量販店でビジネスマン向けの「XD-A8500」と中学生向けの「XD-A3800」それぞれの特設什器を作り、エレベーター前など目立つ場所に展示する。また、広告については、「XD-A8500」はビジネス誌に、子どもだけでなく親が選ぶことが多いと見込まれる「XD-A3800」は子育てを支援する情報誌『プレジデントファミリー』など、ターゲットが絞られる媒体に打っていく。

(2)【今後の市場】全体としては、20 09年度並みだろう。当社は09年の電子辞書の販売数量シェアで過半数を取っている。10年はビジネスマンと中学生という新しいユーザー層の部分で新たに販売数量を上積みし、シェアを伸ばしていきたい。

(3)【電子辞書のこれから】電子辞書が電子書籍リーダーのようなものに発展する可能性があり、多少意識はしている。例えば、当社ではすでにインターネット上のテキストを電子辞書にダウンロードし、分からない言葉があれば、テキストと同じ画面に訳を表示する機能を搭載している。しかし、日本で電子書籍というと、まだ携帯電話で漫画をダウンロードするというのがほとんど。漫画は学校など教育現場では推奨されていないため、電子辞書のコンテンツには向かない。また、日本は電子書籍のフォーマットが統一されてない。フォーマットがどう統一されるかが、普及のカギとなるだろう。


Answer.シャープ

樋口斉
パーソナルソリューション事業推進本部
パーソナルソリューション事業部
国内営業部部長
(1)【販売施策】従来、電子辞書売り場には店員さんが常駐しているわけではなかった。POP等で製品をアピールしても伝わりにくい。そこで、2010年の新製品は動画再生に対応した。動画は人の目を引きやすいので、量販店などで訴求しやすくなった。当社は医療向けなど専門的な機種は出していない。そのため、特定の辞書を求めている人への訴求は難しい。とにかく辞書を買いたいと思って来店したお客に強くアピールしていきたい。

(2)【今後の市場】電子辞書市場は、2006~07年がピークで、ここ数年はやや縮小傾向にある。ただ、今後は少子化に歯止めがかかり、高校生市場は毎年新しくなるので、需要はコンスタントに見込める。200万~230万台程度で推移するのではないかとみている。例年、電子辞書は3万円台半ばの価格帯で発売するが、不景気の影響で2万円を切るものなど安いほうがいいという声もある。低価格な製品のラインアップをどうするか、これも課題の一つだ。

(3)【電子辞書のこれから】「本を読む時に辞書を引きたい」という需要が出てくる。すでに電子辞書は書籍を読む機能を搭載していて、今後、電子書籍リーダーと融合する可能性がある。電子書籍の文化が広まれば、学校でも端末だけを配り、教科書の内容を画面に映して授業を行うといった動きも出てくるだろう。当社はコンテンツのダウンロード購入の仕組みづくりに力を入れており、現在書籍を2万4000冊ほど用意している。これをさらに増やしていきたい。
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