頂上熱戦

【頂上熱戦】「セキュリティソフト」 トレンドマイクロとシマンテック(前編)

2010/03/25 18:45

週刊BCN 2010年03月22日vol.1326掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)ラインアップ (2)製品の強み (3)製品のトレンド

(左から)トレンドマイクロ ウイルスバスター2010、シマンテック ノートン360 バージョン4.0


Answer.トレンドマイクロ

吉田健史
マーケティング本部
コンシューマ&SBマーケティング
グループ部長
(1)【ラインアップ】日本では、「ウイルスバスター」ブランドで、一つの製品だけをラインアップする。2009年9月に投入した最新版「ウイルスバスター2010」は、WindowsとMacの両方のOSに対応する。「ベストのセキュリティ」をすべてのユーザーに提供するのがわれわれの基本ポリシーだ。複数の製品を出しても、ユーザーは差を理解できるのか。販売員は差を説明できるのか。必ずしもそうでない。「複数より一つ」というシンプルで分かりやすいコンセプトを、強く信じている。

(2)【製品の強み】メインのコンポーネントとなる高性能なウイルス検出エンジン。レピュテーション技術を採用した巨大なデータベースを利用して、PCがウイルスに感染する前に脅威を止めてしまう。ここ数年、ウェブからの脅威が急速に増えてきた影響で、もちろん他社も同じような技術を採用せざるを得ない状況になったが、当社は草分けで、6年間の経験をもつ。業界で一番高い防御率を誇る。そのため、PCを守るという点では、他社に絶対負けない。また、最新の脅威に対応するグレードアップを自動的に行うので、ユーザーに意識させることなく、最大の安全性を提供している。

(3)【製品のトレンド】ユーザーは、安全性は当然として、セキュリティソフトがPCになるべく負荷をかけないという軽快さを求めていることが分かった。とはいえ、安全性と軽快さの両方を満足させるのは難しい。起動時間やCPU占有率、スキャンに必要なメモリ容量などのパラメーターに関して、さらに改善を図っていく。


Answer.シマンテック

デイビッド フリーア
アジアパシフィック&日本担当
コンシューマ
バイスプレジデント
(1)【ラインアップ】「ノートン」では、ユーザーのそれぞれのニーズに合わせ、製品を明確に分けて投入する。エントリー版の「ノートンアンチウイルス2010」、通常版の「ノートンインターネットセキュリティ2010」、統合版の「ノートン360バージョン4.0」の3タイトルを武器に、マーケットをセグメントして狙っている。例えば、2010年2月に発売した「ノートン360バージョン4.0」は、オンラインバックアップ機能を使って3台のPCから写真や動画のデータにアクセスできるので、家庭で家族が使うのに最適だ。一方、「ノートンインターネットセキュリティ2010」は、インターネットのヘビーユーザーを主なターゲットに据えている。

(2)【製品の強み】強みは、当社がもつ約3500万人の世界的なユーザーネットワークに基づいているレピュテーション技術にほかならない。高いウイルス検出率をオンラインバックアップ機能と合わせ、コンペティターにはできない完全な保護を実現している。脅威が毎日のように増殖しているので、例えば2年前のセキュリティソフトなら、すでに80%の割合で脅威からPCを保護できない。そこで、当社は、ライセンス有効期間内の旧版のユーザーを対象に、定期的に無償アップグレードをサイトでダウンロード提供する。

(3)【製品のトレンド】今は、「スピードの時代」。セキュリティソフトをもっているのに、PCが遅くなるからという理由で恒常的に使わないユーザーが多い。そこで、2年前からスピードアップとセキュリティの両立を追求している。今後も洗練させていく。
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