ローランド(田中英一代表取締役社長)は2010年4月、リニアPCMレコーダーのエントリーモデル「R-05」を発売する。これを機に、これまで映像関連機器の「EDIROL(エディロール)」だったリニアPCMレコーダーのブランドを電子楽器の「Roland(ローランド)」に切り替え、改めて攻勢をかける。

 ローランドは、電子楽器のブランドとして定着している「Roland」ブランドで録音機器を展開するため、4月に専門の開発部門を設置した。「Roland=楽器メーカー」という知名度を生かしてユーザーに訴求していく。

 同社のリニアPCMレコーダーのユーザーは、30代後半以降の男性。とりわけ40代前半から50代が多く、楽器を趣味にしている人が中心だ。「年配の方ほど音を録ることに対してこだわりがある」と担当者は明らかにした。

 リニアPCMレコーダーは、ICレコーダー市場のなかでの存在感を高めている。「BCNランキング」では、3月で販売台数32.4%、金額で48.7%を占めるまでに成長。この背景には、会議やお稽古事で使うICレコーダーに、リニアPCM(WAV)形式を採用する製品が増えたことがある。ただ、「そうしたICレコーダーと、当社のリニアPCMレコーダーは別物」と担当者は断言する。

 その理由は、音質だ。ローランドは04年11月、日本で初めてサンプリング周波数と量子化ビット数が44.1kHz/24bitに対応する民生用リニアPCMレコーダー「R-1」を発売。MDが主流だった当時、記録メディアにコンパクトフラッシュを用いたのも画期的な試みだった。その後、コンパクトな「R-09」「R-09HR」を発売。そのつど、ユーザーの声を製品に反映してきた。「ユーザーが評価しているのは音質」(担当者)であり、楽器メーカーとして音質にこだわり続けてきた自負がある。「Roland」の名を冠した展開も、その自負の現れだろう。

 「R-05」は、民生用モデルの4代目にあたる。2万5000円前後という、リニアPCMレコーダーとしては手頃な価格で提供する。録音シーンによってレベルを自動調整する「リハーサル機能」、メニューやファイル名を日本語表示にするなど、初心者でも使いやすい機能を盛り込んだ。「楽器や自然の音、鉄道などをフィールドとするユーザーに対しては、すでにアプローチできている。『R-05』は、録音に慣れていない人がターゲット」と、製品の位置づけを語った。(井上真希子)

Roland R-05