時の人

<インタビュー・時の人>NECパーソナルプロダクツ PC事業本部 商品企画開発本部長代理 渡邉敏博

2010/06/17 18:44

週刊BCN 2010年06月14日vol.1337掲載

 PC市場が活況を呈している。デスクトップとノートを合算した「BCNランキング」の対前年同月比をみると、5月は販売台数108.3%、金額106.8%といずれも前年を上回る勢いだ。有力メーカーであるNECパーソナルプロダクツの渡邉敏博・PC事業本部商品企画開発本部長代理に、3D対応モデルを含めた製品企画と販売体制について聞いた。(取材・文/井上真希子)

一貫した販売体制が強み
「安心・安全・快適」の製品コンセプトを堅持

Q 3D映像が楽しめる液晶一体型PC「VN790/BS」を、6月下旬に投入する。PCならではのメリットは何か。

 「富士フイルムのコンパクトデジタルカメラ『FinePix REAL 3D W1』で撮影した写真・動画や、インターネット上で公開されている動画、これから登場すると予想されるBDのコンテンツ、これらすべての3D映像を一台で楽しめる点だ。テレビだと、こうした複数のコンテンツを一台で視聴するのは難しい」


Q 製品の位置づけは? PCゲームには非対応だが……。

 「『VALUESTAR N』シリーズの付加機能として3Dを盛り込んだ。上位モデルの『VN770/BS』に1万5000円から2万円ほどプラスした程度で買えるよう、価格を抑えている。これには、3D方式に、導入コストがかかるフレームシーケンシャル方式ではなく、偏向板方式を採用したことが貢献している。

 海外に比べ、日本はPCで本格的にゲームをする人はそれほど多くない。ターゲットを狭めることなく、3D映像を楽しみたい人に向けて幅広く訴求していく」

Q 他社を含めた3D対応PCの今後の製品展開について、どのように予想しているか。

 「弊社の現行モデル『VN790/BS』はテレビ番組の3D表示ができないが、今後は対応が必要になってくるだろう。また、これからはPCのなかでも、異なる3D方式を採用するさまざまなタイプの製品が登場するとみている」

Q 2010年夏モデルの強みは?

 「3D対応モデルは『VN790/BS』1機種しかないので、これだけでは戦っていくことができない。3Dのほか、統合ソフト『Microsoft Office 2010』や地上デジタル放送対応モデルのテレビ機能の強化を軸に据える。そのほか、LEDバックライトやIPS液晶の採用による『画質のいいディスプレイ』をアピールしていく」

Q NECの製品がユーザーに受け入れられている理由は何か。

 「NECは、PCの企画・開発・製造・販売・サポートを、子会社のNECパーソナルプロダクツが一貫して担当する、という販売体制をもっている。これは国内のPCメーカーで唯一の仕組みだ。この強みが、結果に結びついたと考えている。

 例えば、販売で生じた問題を開発やサポートへ伝えるとき、またサポートの声を企画に届けるとき、情報伝達のスピードが速い。情報伝達の速さは、顧客満足度(CS)の向上につながる。フィードバックが早いので販売店との結びつきが強くなり、店頭で安心して売ってもらえる。

 03年の会社設立以前は、開発・生産とマーケティング・販売が別会社だったので、どうしても組織間に壁ができてしまい、業務が円滑に進まないことがあった。一つの会社が一貫して担当することで、こうした課題を克服でき、社員の意識も変わった」

Q PC市場の伸長のポイントは何か。

 「切り口の一つとして、やはり3D対応モデルが挙げられる。また、『外出先で使う』『家の中で持ち運んで使う』など、PCの2台目需要も想定している。

 ただ、これらの前提として、ユーザーがPCとしての基本的な機能の充実を望んでいることは確かだろう。NECのPCすべてに共通するコンセプトとして『安心・安全・快適』というキーワードがある。一度購入したPCは末永く使ってもらいたい。そのためには、ユーザーに不自由を感じさせてはいけない。このコンセプトは、継続して維持していく。2010年度は法人・個人向けPCを合わせて出荷台数260万台を目指す」

・思い出に残る仕事

 2005年、モバイルPCで、従来からNECが追求していた「コストパフォーマンス」か、この当時に重視され始めていた「軽量」か、どちらかを選んで製品化するタスクを与えられた。選んだのは「コストパフォーマンス」だったが、販売部門から「重すぎて売れない」と一蹴され、結局「軽量」モデルに切り替えた。その後、NECの主流は軽量モデルになり、コストパフォーマンスモデルの生産は終了へ。しかし今度は、「販売が好調なので生産を止めないで」という声が営業の現場から上がった。この一件で、当初にらんだ市場ニーズが間違っていなかったことがわかり、信念をもって仕事を遂行することの大切さを学んだ。
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