シリーズ「店頭販売奮闘記」では、メーカーの販売最前線の活動ぶりを紹介してきた。この連載を通じて明らかになったことは、販売に“近道”はないということだ。売り場を巡回する営業担当者は、家電量販店やパソコン専門店の店員と常にコミュニケーションをとり、人間関係を構築するために地道な活動を続けている。店員や来店者の声を吸い上げて売り場作りに生かしたり、商品をアピールするための販売ツールを企画することで、良好な関係構築につなげているのだ。
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の営業担当者は、店頭でのPC販売に着手するにあたって、コンシューマへの知名度が予想以上に低かったために、売り場のスペースを確保するまでに相当苦労したと述懐している。メーカーとしての立場ではなく、コンシューマの立場で常に物事を考えなければならないと胆に銘じていたのが印象的だった。
カメラ周辺機器のケンコーは、現場での地道な活動をモットーに、店舗巡回で自社の社員を育てることにつなげている。
ワコムの店員向けのタブレット勉強会は、忙しい時間帯を避けて店のオープン前や閉店後に設定。他社製品と共同で似顔絵イベントを実施するなど、店頭でのPRに力を入れているのが特徴的だった。
キングソフトは少ない営業人員で全国を駆け巡り、販売店をこまめに巡回した結果、自社ソフト「KINGSOFT Office」の販売が大幅に伸びたという。
POPや展示方法などの売り場づくり、店員への勉強会など、店頭を盛り上げようとするメーカーの姿勢には、自社製品の販売だけにこだわっているのではなく、自社製品を通じて販売店の業績を伸ばすことまでを意識した策を講じていることがうかがえる。店頭施策は、現場での地道な取り組みがカギを握っていることを再確認することができたシリーズだった。
・連載に登場いただいたメーカー
アスース・ジャパン/日本HP(パソコン)/エレコム/トレンドマイクロ/日本エイサー/AOSテクノロジーズ/イメーション/弥生/バッファロー/ヒサゴ/ワコム/ティアック/東芝/レノボ・ジャパン/三洋電機コンシューマエレクトロニクス/ソニー(携帯オーディオ)/GNネットコムジャパン/パナソニック/日本プラントロニクス/キングソフト/ソニー(デジタルフォトフレーム)/ケンコー/バッファローコクヨサプライ/セイコーインスツル/アドビシステムズ/日本HP(プリンタ)/キングジム