2009年10月のWindows 7、10年6月のOffice 2010の発売が起爆剤となって拡大したPC市場。BCNランキングでは、昨年6~10月のPC販売は台数・金額ともに前年同期比2ケタの伸びで、テレビが爆発的な販売を記録した11月にも前年並を維持した。2011年の需要喚起のカギは何か。日本マイクロソフトに今年の取り組みを聞いた。(取材・文/田沢理恵)

PCはまだまだ伸びる
利用シーンとトータルで提案

Q. Windows 7やOffice 2010が、PC市場のけん引役になっている。発売から今日まで、どのような取り組みをしてきたのか。

A.
 Windows 7とOffice 2010の特徴やよさをウェブサイトなどで訴求し、店頭に誘導するマーケティング活動に力を入れてきた。Windows 7発売の1年ほど前からは、店頭で直接お客様に接する販売員の方々に、きちんとクロージングしていただけるよう、販売店さん向けの勉強会を強化してきた。以前は、新製品が出るタイミングで機能紹介を中心にした勉強会を開催していたが、今は製品を並べて機能を説明するだけでは売れない時代だ。現在は、販売トークのコンテンツを用意し、3か月に1回くらいのペースで勉強会を開催している。従来の5倍程度の予算で、力を入れている部分だ。


Q. その成果は、上がりつつあるのか。

A.
 例えば、お客様が店頭で他社のオフィスソフトと比べているとき、販売員の方々がOffice 2010を勧めてくれるケースが格段に増えたと実感している。また、以前はあまりなかったことだが、PC担当の販売員さんがOfficeの勉強会に参加している。その効果もあって、PC売り場でOfficeのデモができる販売員さんが、6割を超えた。こうしたことが、OfficeやPCの好調に貢献しているとみている。また、当社は常に業界全体を活性化する「エコシステム」を考えていかなければならない立場にある。地デジPCの訴求など、業界団体のWDLC(ウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム)での地道な取り組みも、着実に実りつつある。

Q. 今年は、どのような取り組みで需要を喚起していくのか。

A.
 今年は、よりディティールにこだわっていく。これまで販促活動は部門ごとに行っていたが、この春からは、Windows 7、Office、マウスなどのハードウェア製品トータルでキャンペーンを展開していく。これは社内事情だが、品川の新社屋に全部隊が結集したことで、連動しやすくなった。販売店さんには、PCの使い道ごとの売り場づくりを提案していく。「これを買った人は、この製品も買っています」というECサイトのようなイメージだ。知らなかった便利な製品を新たに発見すると、誰でもすごく得した気分になるし、うれしいもの。周辺機器を含めてPCの利用シーンをトータルで提案することで、付加価値を訴求していく。まだ大勢いらっしゃるWindows XPユーザーだが、今年から来年にかけて、Windows 7への買い替えが加速するとみている。ハードウェアの選択肢が増えていることも追い風で、買い増しのチャンスも多くなる。PCはまだまだ伸びる。提案型の売り場づくりを積極的に進めていく。

・Turning Point

 日本で初めて午前0時に発売したWindows 95発売の時、営業担当者としてある販売店にいた五十嵐事業部長。その日は雨で、23時ごろまでお店の外には誰もいなかった。ところが、0時にシャッターが開くと、向こうには長蛇の列。雨がやんだ後、人々が駆けつけていたのだ。Windows時代が幕を開けた瞬間だった。Windows 98の時は、営業責任者を務めていた。「売れないんじゃないか」というマスコミの声、「総出で手伝いに行きますよ」というPCや周辺機器メーカーからの期待の声、前回以上に売りたいという自身の思いが交錯していた。結果として爆発的に売れたのだが、責任者になって初めて「Windowsは、自分たちだけのものではないということが骨身に染みた出来事だった」と振り返る。