地域No.1店舗の売れる秘訣

<地域No.1店舗の売れる秘訣 あの人気店はこうしてつくられた>まとめ 専門店編 ――ユニークな取り組みで来店を促進 他店にはない人材と品揃えが強み

2015/04/09 18:44

週刊BCN 2015年04月06日vol.1574掲載

 パソコンやデジタルカメラなどを主力商材に据える専門店は、大手家電量販店と比べてデジタル関連商品の取り扱いが少ないという点で、他店とは一線を画した取り組みを進めなければ生き残れない。そこで、これまで「地域No.1店舗の売れる秘訣~あの人気店はこうしてつくられた」で掲載した、規模は小さいながらもユニークな策を講じて成長している専門店を紹介して最終回とする。(取材・文/佐相彰彦)

OAナガシマ浜松本店(静岡・浜松)
「おもしろい」を意識した店づくり


 静岡県浜松市で多くのファンを獲得しているのが、パソコンを売りながらバイク関連用品の専門店でもあるOAナガシマ浜松本店だ。

 沼津市に本社を置くZOAの旗艦店の一つで、顧客が店を何度訪れても飽きない品揃えに力を注いでいる。パソコンや関連商品の充実はもちろんだが、お客様がほしがる商品は、業界の枠を越えて仕入れている。お菓子なども扱い、「誰でも気軽に利用できる」という雰囲気を大切にしている。それが、大人でさえワクワクしてしまう店づくりにつながって、競合店と一線を画すことになり、浜松市民の信頼を勝ち取った。

 出店場所は、近藤紡績所の工場などがあって工業地区だった浜松市東区中田町。ここは今、ショッピングモールのイオンモール浜松市野をはじめ、飲食店などの大型チェーン店が進出していて、休日になると多くの浜松市民が訪れるショッピング街になっている。そのなかで、OAナガシマ浜松本店はパソコン+バイク用品の専門店として地域に定着している。

グッドウィルEDM(愛知・名古屋)
パソコンとサブカルチャーが柱


 愛知県名古屋市の大須商店街は、名古屋の代表的な観光名所になっていて、若者向けのファッション関連ショップ、地元住民向けのスーパー、観光客向けのグルメスポットなど、多くの店舗が軒を連ねる。その地で、グッドウィルEDM(エンターテイメントデジタルモール)は、パソコン専門店でありながらサブカルチャー関連商品を武器に、パソコン上級者やフィギュアマニア、観光客などが集う楽しい店を目指している。

 パソコンにあまり詳しくない人の来店を促すため、店内ではサブカルチャーなどデジタル機器以外の商品の充実も図っている。アイドルグループのライブや握手会、落語家や芸人による寄席など、イベントにも力を入れており、新しい客層を店舗に招き入れることでパソコンの販売を増やしている。そのため、学生や60歳以上などの幅広い年齢層が来店しているほか、奇抜な店舗の外観が目を引き、外国人観光客も訪れている。

ドスパライオンレイクタウンmori店(埼玉・越谷)
国内屈指のショッピングモールに出店


 国内屈指の規模を誇るショッピングモールのイオンレイクタウンに、テナント出店しているドスパライオンレイクタウンmori店。売り場面積が100m2と小さい店舗ではあるが、ファミリーを中心に着々と顧客を獲得している。休日には、多くの来店者で賑わっており、ショッピングモール内でのパソコン専門店の出店は成功する可能性が高いことを裏付けた。さまざまな層がモールを来訪するなか、上級者が来店するパソコン専門店のイメージを打ち破って、デジタル雑貨ブランド「上海問屋」を核とする店づくりに取り組んでいる。

 現段階では、「ドスパラ」という店名の認知度を高めることに力を注いでいるが、上海問屋に興味をもった顧客がドスパラブランドのパソコン「ガレリア」にも関心を示すようになった。スタッフは、パソコンの知識に長けている。ユニークな雑貨屋でスタッフとのコミュニケーションで自分好みのパソコンを購入できることが浸透。スタッフのスキルが本領を発揮している。

BUY MORE秋葉原本店(東京・秋葉原)
パソコン専門店の新しい姿へ


 東京・秋葉原電気街に、ユニットコムが運営する新ブランドのパソコン専門店がある。それがBUY MORE秋葉原本店だ。パソコン工房やFaith、組み立て用パソコンパーツ専門店のTWO TOPなどが扱っていた商品を販売し、グループ内のノウハウを集結させた。グループ内のパソコンメーカー、マウスコンピューターが提供するパソコン/液晶ディスプレイ「iiyama」のショールームでもある。

 ユニットコムグループのノウハウを集結し、パソコン専門店の新しい姿を確立することがBUY MORE秋葉原本店のコンセプト。そのため、ユニットコムにとっては、新規のパソコンにあまり詳しくない顧客の獲得に力を入れている。

 以前、ユニットコムはグループで秋葉原に3店舗を構えていた。しかし、扱う商品で店舗ブランドを分けていることが、とくに都市圏では非効率と判断。そこで店舗を統合した。都市再開発によって活性化する秋葉原に適合したかたちだ。なお、ユニットコムでは大阪のでんでんタウンにもBUY MORE大阪日本橋店を出店している。

PCボンバー本店(東京・上野)
リアルとネットの相乗効果


 大手通販サイトの台頭で、パソコン専門店や家電量販店の販売が伸び悩んでいるといわれて久しい。一方、低価格を売りにネットだけでビジネスを手がける通販サイトは、サポートや信頼性などに欠けると評価されることがある。このような状況のなか、1998年の創業当初から通販と実店舗の両方に力を入れてきたアベルネットは、リアルとネットの融合で、「顔のみえる通販事業者」として安定した人気を誇っている。アベルネットが運営する激安サイトのPCボンバーの業績拡大に貢献しているのが、JR御徒町駅近くにあるPCボンバー本店だ。

 通販サイトと実店舗の両方を手がけているが、アベルネットの基本姿勢は実店舗での手渡し。購入した商品を店頭で受け取ることができるよう、専用のカウンターを設置している。購入した商品をすぐに手に取りたいという顧客の要望に応えるためだ。また、電話やファクス、eメールなど、さまざまな注文方法に対応している。

PCワンズ(大阪・日本橋)
でんでんタウンで生き残る


 でんでんタウンは、かつて日本の三大電気街といわれていた。以前の日本橋は、パソコンや組み立てパソコン用パーツを販売する専門店が多く軒を連ねていた。ところが、梅田駅前のヨドバシカメラ、なんば駅近くのヤマダ電機やビックカメラなど、大手家電量販店の出店攻勢によって衰退の道をたどった。今では、ほんのひと握りの専門店だけが生き残っている状況だ。そのなかの一つに、パソコン専門店のPCワンズがある。パソコン上級者を中心に多くのファンを抱える、知る人ぞ知る店だ。衰退した街で生き残っている要因は、大手家電量販店とはまったく異なる品揃えとサービスにある。

 その一つが購入後の保証。パーツを組み合わせてパソコンをつくる自作パソコンでは、パーツ同士の相性が合わず正常に動かないという事態が往々にして起きることから、購入後2週間以内であれば、返金もしくは商品の差額交換、ジャンク品を除く全商品を対象に交換を受け付けている。

レモン社銀座教会店(東京・銀座)
キーワードは「男の趣味」


 30年以上、東京・銀座に根づいて堅調に成長してきたレモン社銀座教会店は、「男の趣味」をキーワードに、フィルムカメラや鉄道模型、ブランド時計、万年筆などを販売。客層は40代以上の男性が中心で、平日・休日を問わず、多くのマニアで賑わっている。最近は、銀座を訪れる20代の若者を新しい顧客として獲得しつつある。

 20代の若い層が来店するのには、フォトスタジオが寄与しており、就職活動の証明写真の撮影に利用しているという。また、20代のなかには鉄道マニアがいて、その顧客がフィルムカメラに興味を示して購入するケースもある。

 常連客の高齢化が課題だが、舶来品の街である銀座のイメージを、次の世代にも残していきたいというレモン社銀座教会店の想いが伝わって、今では年齢を問わずに幅広い層が来店するようになっている。カメラや鉄道模型など、得意分野は異なるが、すべてのお客様と楽しく会話を交わしながら接客するスタッフが力を発揮している。
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