ニッチでもしっかり稼ぐ　国内参入から5年目の戦略

　「日本の市場は世界でも特殊。消費者は機能や性能、価格が同じ場合、海外製でなく国内メーカー製の家電を購入する」─。

　2011年から国内で製品販売を開始しているハイセンスジャパンの李文麗社長は、国内市場攻略の難しさを指摘する。李社長の経歴からも分かるように、95年にハイセンスに入社した後、01年は米国、03年は豪州、07年はベルギー、11年は韓国と一貫してグローバルで活躍している。138か国と地域で展開するハイセンスならではの経歴で、各国の市場に合わせたマーケティング戦略を心得ている。

　現在、国内ではテレビ5機種、小容量タイプの冷蔵庫5機種を販売。9月7日号で既報の通り、秋に4Kテレビ、来年は洗濯機に新規参入し、冷蔵庫も中型の380リットルのタイプを揃える。

　15年12月期の売上高は約52億円（前期比157.7％）で、17年12月期は100億円を目標にする。世界で7万人の従業員を抱え、売上高約160億ドル（14年度）のグローバル企業の割に、日本法人は規模が小さいが、最初は3、4人からスタートしたというハイセンスジャパンの従業員は、売上高52億円になってもわずか18人で切り盛りしている。

　単身や若い夫婦世帯、380リットルの冷蔵庫のように国内メーカーが手を引いた、ニッチだがしっかり稼げる分野に商品を投入するマーケティング戦略が光る。（BCNランキング 細田立圭志）